今回の記事は、
我々の年金運用(GPIF)が黒字|将来の受給できる年金額は増えるの?
に関しての記載になります。
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まずは、我々の年金を運用しているGPIFの2020年度も運用成績ですが
■ 収益率:25.15%(37.8億円)
■ 過去20年間の収益率:3.61%(95.3兆円)
となっており、
■ 運用資産額は186.2兆円
となっており、GPIFが運用を行ってから最高額の収益となっています。
この黒字額をみて思うところになりますが、これだけ収益を上げているのであれば、私たちが将来受給できる年金は増額される?と思いますよね。
それについてどうなのかを以降に記載していきます。
実際に2020年度の運用状況記者会見でも、黒字になったのだから今後の年金はどうなるのかと言う質問がありました。
それでは、今回の運用成績を受け今後の年金受給額が増額されるのかと言うと
■ 増額されません
と言うのが答えになります。
2020年度で「37.8億円」も黒字となり、2021年度も株高が継続し続きそうなので
■ 増額しても問題ないでしょ?
と言う方はいるのかもしれません。
しかし、GPIFとしては、今回の運用成績を踏まえ年金が増額されるのかと言うと答えは
■ No
と言うことになります。
それでは、なぜ、年金の運用がうまくいっても我々の年金額が増額されないのかを以降に記載します。
詳細は以降に記載します。
以降は目次です。
目 次
前回の記事
GPIFとは
まずGPIFについての記載になりますが、
GPIFは、日本の年金積立金管理運用独自行政法人であり、略は以下の通りです。
Government Pension Investment Fund
略を簡単に言うと「年金積立金を運用している公的機関」を意味する英語の頭文字から取られています。
引用:GPIFの「2020年度 業務概況書」
どのようなことをしている簡単に言えば、我々が預けた公的年金を運用・管理してくれる行政法人になります。
2020年度の運用成績は
上記にも記載しましたが、2020年度のGPIFの運用成績は
■ 収益率:25.15%(37.8億円)
■ 過去20年間の収益率:3.61%(95.3兆円)
で過去最高の運用収益率を出しています。
過去にGPIFの2020年度の運用成績を記載した記事がありますので興味がある方は参照して下さい。
2020年度は、たまたまコロナバブルで、株式市場が上昇したこともあり、GPIFの運用成績が良かっただけと単純に判断はできます。
しかし、世の中では、少子高齢化で我々が受給できる年金額はどんどん減額されて行き、最終的には年金が廃止されるのではないかと言われています。
このまま、GPIFの運用成績が好調であれば、最終的に我々が受け取れる年金額は、今後増額されても良いと考えてしまいます。
しかし、GPIFの運用成績が好成績であったとしても、我々の年金額は、増額されることはありません。
それは、なぜかと言う答えを以降に記載していきます。
なぜ年金が増額されないのか
まず、我々が納めている年金がどのように使われているのかと言うと以下の図のような流れで年金保険料は使われて行きます。
引用:GPIFの「2020年度 業務概況書」
基本的には、我々が支払った年金は、高齢者の支払いに使用される「賦課方式」が採用されており、我々の年金は、積立て方式ではありません。
現在GPIFで運用されている資金は、元々バブル時代に余った年金保険料(余剰金)が資金になっています。
その為、今現在、我々が納めている年金保険料が純粋に運用されているわけではありません。
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GPIFで運用している資金は、将来的にどのように使用されて行くかを下記の図で簡単に説明します。
我々が納めている年金保険料は、上記でも記載した通り「賦課方式」を採用しており、そのまま高齢者への年金給付金となっています。
引用:GPIFの「2020年度 業務概況書」
上記の図のように、高齢者の年金給付の財源は、年金保険料と国庫負担分で賄っています。
今後は、少子高齢化などで、高齢者の年金給付金が賄えなくなった場合、GPIFで運用している積立金を使用し高齢者への給付を賄おうとしています。
その為、2020年度のGPIFの運用収益がプラスであっても我々の将来受給できる年金額は増額されないことになります。
要するに50年後、100年後を見据えた「年金給付の財源」不足を補う為に積立てを行われているので、我々が受給する年金給付が増額されることはありません。
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よくニュースなどで年金は、100年運用ができると言う話を聞いたことがあると思われます。
その理由としては、少子高齢化などで不足した年金保険料をGPIFにて運用している積立金から賄うことでおおむね100年問題ないと言われています。
GPIFで行われている年金運用は長期分散投資を基本としており、年金積立金は、概ね50年度は取り崩す必要が無く運用されて行く資金と言われています。
引用:GPIFの「2020年度 業務概況書」
上記の図を見ると、2079年度までは、年金受給は問題ないと思われるかもしれません。
しかし、上記の図では、
■ ケースⅢ
で予測されていますが、現在の物価上昇率だけで言えば、上の図にはない
■ ケースⅥ
の状況になります。
正直、この日本の経済状況を考えると50年後、本当に「ケースⅢ」で予測された数値になるかは疑問が残ってしまいます。
引用:GPIFの「2020年度 業務概況書」
その為、安易に、「日本の年金は問題ない」と言い切ることは非常に難しいのかもしれません。
最後に:将来の受給できる年金額は増えるの?
どうでしょうか?
我々の年金運用(GPIF)が黒字|将来の受給できる年金額は増えるの?【年金】
に関して記載しました。
2020年度では、GPIFの年金収益率は、今までで最高の収益が出ています。
このことを考えると我々が受給できる年金は、将来安泰かと言うと若干疑問は残ります。
もともと、GPIFで運用している資金は、将来、少子高齢化で、高齢者に支払う年金給付金が、我々が納めている
■ 年金保険料+国庫負担
で不足した場合に補う資金です。
その為、いくらGPIFでの運用が上手く行き、運用収益が上がろうとも将来受給できる年金額が増加することはありません。
GPIFの運用がうまくいけばいくほど、日本が行っている年金制度が長く続くと言うことになります。
現在では、最低50年間は、積立金で賄わなくても問題ないと言われていますので、将来受給できるはずの年金がもらえないとは考えなくても良いのかもしれません。
今後は、
■ 高齢者に支払う年金額が増加
■ 年金保険料+国庫負担では不足分が発生
■ GPIFの積立金を使用
されると「GPIFの積立分の資金が枯渇」した時が、
■ 日本の年金制度が危ない
と言えるのかもしれません。
その為、50年後には、日本の経済状況も良くなり、少子高齢化が解決されていれば良いと楽観的に考えたいです。
皆さんは、どのように思いましたか?
コメントがあれば、よろしくお願いします。
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