「年収の壁」に関しては、2023/10/2時点で撤廃すると言う話は決まっていませんが、厚生労働省は9/27に年収が一定の額を超えた場合、社会保険料を支払うことで手取り額が減る「年収の壁」に対する支援強化パッケージを発表しています。
■年収の壁:106万円
キャリアアップ助成金コースを新設し短時間労働者が被保険者の適用による手取り収入を増額させる取り組みを行った事業主に対して労働者1名にて最大50万円の支援を行う。
従業員の上限は設けず、10月から導入することになり2年間支給ができるように「社会保険適用推進手当」を創設されます。
■年収の壁:130万円
年収が130万円を越えると扶養から外れ社会保険料を納める必要があるが、一時的な増収である場合は、連続で2年間は不要にとどまることができるようになります。
しかし、今回保険料が免除されるのは、一部のパート主婦だけであり不公平感は否めません。
また、2年間の期限付きで実施されるため、2025年度に行われる年金制度改革でどのような変更が行われるのかには注意が必要です。
詳細は、以下に記載します。
以降は目次です。
au PAYで貯めたポイントは、au PAYマーケットにて1ポイント=1円で使用できますのでau PAYポイント運用で貯めたポイントを使用してみては。
|
目 次
前回の記事
年収の壁とは?
年収の壁については、簡単に説明すると
■税制上の年収の壁
■社会保険に関する年収の壁
の2種類に分かれます。
税制上の年収の壁に関しては、以下の通りとなります。
■100万円の壁
住民税を納める必要がある壁
■103万円の壁
所得税を納める必要がある壁
■150万円
配偶者控除が減額される壁
■201万円
配偶者控除がゼロになる壁
続いて、「社会保険に関する年収の壁」は、社会保険に加入有無に関する壁となり、社会保険に加入する条件としては、以下の条件があります。
■勤務先の従業員数が101名以上
■週の所定労働時間が20時間以上
■月額賃金が8万8,000円以上(年間約106万円)
■2ヶ月を超える勤務の見込みがある
■学生ではない
上記の社会保険に加入する条件に該当すると106万円の壁となり、上記条件に該当しない場合は130万円の壁になります。
今回の「年収の壁」が廃止になると言われているものは、「社会保険に関する年収の壁」が該当します。
年収の壁の現状
会社員・公務員の配偶者で扶養とされ保険料の負担がない「第3号被保険者」のうち約4割が就労しています。
その中には、一定以上の収入となった場合、社会保険負担等による手当の収入減を理由に就業時間を調整している方がいるのが事実です。
配偶者がいる女性のパート主婦に対して就業調整をしていると回答している割合は約2割おり、「社会保険に関する年収の壁」を意識する配偶者が多数いることになります。
また、パート主婦からは扶養から外れたくない理由としては以下の理由が考えられます。
■一定の賃金を超えると自分で社会保険に加入する必要がある
■一定の労働時間を超えると、雇用保険、健康保険、厚生年金保険に加入する必要がある
■配偶者の会社から受け取れる配偶者手当がもらえなくなる
そのため、パート主婦が扶養から外れ働くためには、上記対策を行う必要があり今回の対策案が生まれたことになります。
年収の壁:経済対策の内容
年収の壁に対する当面の対策案に関しては、106万円の壁への対策として「キャリアアップ助成金」「社会保険適用推進手当」を検討しており、130万円への壁の対策としては、「事業主の証明による被扶養者認定の円滑化」を実施する方針です。
また、配偶者手当の対応として、「企業の配偶者手当の見直しの促進」を検討しています。
上記以外にも設備投資等により事業場内最低賃金の引上げに取り組む中小企業等に対する助成金(業務改善助成金)の活用も促進していくようです。
引用元:厚生労働省 「「年収の壁」への当面の対応策」
一部の保険料免除はずるい
今回の免除に関しては、政府から言わせると年収の壁で働く時間を減らすパート主婦を減らすための施策(労働者を増やす)とのことです。
しかし、今まで社会保険を納めている第2号被保険者からすれば、なぜ、保険料を納めている国民を無視して、今まで社会保険を納めていないパート主婦を免除するのか意味が分からないと考える人は多くいます。
そもそも、社会保険は、自らが納めた保険料に対して、保障を受ける物と考えますが、一部のパート主婦に対して保険料の負担を軽減させ保障を与えることに関しては、どのようなものかと考えます。
公平に納めさせる保険料と言う考えであるのであれば、一部の対象者に対してではなく、全保険者に免除を与えるべきではないかと考えます。
そのため、今の岸田政権には落胆する気持ちしかありません。
そもそも、時限的な助成金など渡すくらいならば、106万円や130万円の壁を廃止し、社会保険に加入したい人が加入すればよいと言う制度に変えればいいと考えます。
年収の壁:本当に働き損?
年収の壁について考えるのは、手取りの金額だけで収入が減ると言うことだけがクローズアップされています。
そもそも、保険に加入した場合のメリットが知れ渡っていないため、何のために保険が引かれて行くのか分からず、ただ単純に、年収の壁を越えると損をすると言う考えになってしまいます。
65歳から受取る年金だけを考えた場合、第3号被保険者でいた場合は、老齢基礎年金(満額受給で月額約6.5万円)のみを受給することになります。
しかし、第2号被保険者となった場合、上記の記載した老齢基礎年金と老齢厚生年金を受取ることになるので、65歳から受取る年金受給額は増えることになります。
また、ケガや病気で働けなくなった場合の保障や失業した場合の失業保険など保障の範囲は格段と広がります。
冷静になって考えた場合、手取りが減ると考えるよりも、社会保険に加入し保障を増やした方が得をすると考えられます。
しかし、社会保険加入時のメリットがなかなか浸透していないので、社会保険に加入する方が損をすると言う考えの人が多くいるのもしょうがないのかもしれません。
そのため、年収の壁について、短期的な保障をするのではなく厚生年金などの保険への加入しやすさを改善していく方が先なのではないかと考えます。
パート主婦:撤廃時の準備は?
今回の年収の壁に対する期限は2年間となっています。
基本的に2年後の2025年には、年金制度改正で変更されることと考えられます。
2023.10.02時点での106万円の壁に関しては
①勤務先の従業員数が101名以上
②週の所定労働時間が20時間以上
③月額賃金が8万8,000円以上(年間約106万円)
④2ヶ月を超える勤務の見込みがある
⑤学生ではない
となっていますが、2025年での年金制度改正では、①と②の条件を廃止することが検討されています(まだ、確定したわけではありません)。
さらに、③の条件を1カ月の賃金:8.8万円以上を5.8万円(約70万円)に変更するのではないかと言われています。
さらに、④、⑤についても廃止が検討されています。
※学生に関しては、短期間で資格変更が生じることが想定され、今後も対象外のままかもしれません。
そのため、今回の年収の壁に関しては、2年間の時限的なものが強く2025年にはどのような状況になるかは今後決まっていくものと考えられます。
そのため、今回、保証の対象となる専業主婦の方でも2025年にはどのようになるかは分かりません。
今後は、何時、第3号被保険者が廃止となってもいいようにある程度は準備が必要なのかもしれません。
専業主婦世帯でも旦那さんの収入が平均年収を越えているのであれば、国民年金保険料を納めることや、年金保険料を納められない専業主婦に対しては、将来受け取れる保険料が半額などと話が検討されているとのことです。
そのため、何も準備していないと2025年に痛い思いをするかもしれませんので今のうちから働く準備も必要なのかもしれません。
皆さんは、今回の記事を見てどのように感じましたか?
是非、質問やコメントなどがあれば下記のコメント欄までにお願いします。
コメントを記載していただけるとブログ運営での励みとなりますのでご意見があれば何なりとお願いします。
コメント