●2022/8/3に一部記事を更新しています。
まず、専業主婦(夫)の税金・年金優遇がどれくらい行われているかご存知ですか?
専業主婦(夫)の方だけではありませんが、パート(短時間)などで、年収が100万円以下であれば、
■住民税
■所得税
を納める必要はありません。
100万円を超えれば、住民税を納めることになりますが、所得税(103万円)は納める必要はありません。
また、年収が130万円(一部の勤め先では、106万円)を超えなければ、旦那さんの扶養扱いになりますので、
■健康保険料
■介護保険(40歳から加入)
■国民年金保険料
を納める必要はありません。
また、会社勤めの方になりますが年末調整で、配偶者控除 または 配偶者特別控除に関して、所得控除を受けることが出来ます。
配偶者控除、配偶者特別控除に関しては、旦那さんの年収制限などがあるので、詳しくは、下記を参照にしてください。
配偶者控除
配偶者特別控除
その為、専業主婦の場合は、税金や年金保険料の優遇をされ過ぎていると言われており、専業主婦の優遇を廃止すべきと言う声が高くなっています。
特に年金に関しては、国民年金を納めていないのに65歳から老齢基礎年金を受領できるのは「不公平」と言われており専業主婦(夫)の年金優遇は廃止すべきと言う声が高いのも事実です。
専業主婦の年金に関してだけ言えば、厚生年金加入者(会社員の方)が専業主婦の国民年金分も納めている為、「ずるい」など言われる筋合いはありません。
しかし、共働きや単身者の方からは不公平と言う声が上がっているのも事実です。
詳しくは、下記の記事を記載していますので興味があれば確認して下さい。
国民年金の専業主婦優遇だけに関して言えば、国の法律で国民年金を納めたくても納められないと言う現実もあり、単純に不公平とは言えません。
しかし、これほど専業主婦の方には、特典がいっぱいあるように見えますが、実は、デメリットもあることは忘れてはいけません。
それでは以降に、専業主婦の方の税金・年金優遇とデメリットに関しての記載をします。
詳細は以降に記載します。
以降は目次です。
目 次
前回の記事
専業主婦の税金の優遇は?
それでは、専業主婦の税金優遇に対しての見ていきます。
まず、専業主婦(夫)だけの特権ではありませんが、会社員の旦那さんの扶養(配偶者)となると
■健康保険証
は、旦那さんの勤め先から支給され為、保険料を納める必要はありません。
このことは、国民健康保険に加入している第1号被保険者(自営業やフリーランスの方など)からすれば、「ふざけるな!」と言いたくなるのかもしれません。
また、40歳以上の方は、「介護保険料」を徴収されますが、専業主婦は、徴収されません。
どれくらい徴収されるのかと言えば
健康保険の場合
令和3年3月で、1.80%です。
国民健康保険の場合
前年の所得等に応じて決定されます。
● ● ●
次によく言われる年金優遇に関して見ていきます。
下の図ですが、年金の種類と階層を記載した図となり、専業主婦(夫)は、年金の種類で言えば、「第3号被保険者」に該当します。
専業主婦(夫)は、本来、国民年金に加入している為、国民年金を納める必要があります。
しかし、専業主婦(夫)は、第1号被保険者(自営業・フリーランス)と同様に国民年金保険料:月額約1.65万円を納める必要があるかと言うと、必要はありません。
専業主婦(夫)は、国民年金を納めていないのに、65歳から老齢基礎年金(満額になりますが月額約6.5万円)を受給することが出来ます。
また、会社員の旦那さんが亡くなった場合、第1号被保険者(自営業やフリーランスの方)とは異なり、遺族厚生年金も受給することが可能です。
第1号被保険者(自営業やフリーランスの方)でも旦那さんや奥さんが亡くなった場合、
■遺族基礎年金
を受給できますが、実際は、18歳以下の子供がいないと「遺族基礎年金」は受給することが出来ません。
その為、18歳以下の子供がいない夫婦では、なにも保障はされていないのが事実です。
しかし、専業主婦の場合は
■18歳以下の子供がいる場合は、遺族基礎年金を受給
■子供が18歳以上になった場合は、遺族厚生年金を受給
することが可能であり、第1号被保険者(自営業やフリーランスの方)との待遇は、異なることになります。
また、専業主婦は、「遺族厚生年金」を受給できる場合、40歳から65歳までの間は、
■中高齢寡婦加算※
(年間:585,700円)
を受給することが出来ます。
※中高齢寡婦年金は、女性のみが受取り可能です。その為、専業主夫は受取れません。
その為、自営業やフリーランスである第1号被保険者からは、国民年金も納めていないのに「何で?この待遇なの?」と言いたくなるのも事実です。
● ● ●
さらに、専業主婦(夫)の場合、103万円の壁や130万円(一部勤め先では106万円)の壁などと言われる年収制限の壁があります。
年収が130万円(一部勤め先では106万円)までの場合は、旦那さんの扶養(配偶者)となり、上記までに記載された専業主婦(夫)の優遇を受けることが可能です。
特にパートで、年収が100万円以下の場合は、住民税、所得税は納める収めることはなく、仮に、所得税を納めていたとしても年末調整で返却されます。
さらに、年収が103万円の場合、住民税は収めることになりますが、所得税は納めません。
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旦那さんの勤め先によって変わりますが、専業主婦の奥さんがいる場合は、「家族手当」の対象となる場合もあります。
家族手当は、旦那さんが勤めている企業によって年収制限で金額も変わってくるため、家族手当がもらえる会社に勤めているのであれば、旦那さんに確認を取ってもらってください。
家族手当に関して言えば、ネットで見る限り、
■103万円以下
■130万円以下
の企業が多いように感じました。
その為、上記の事だけ考えても専業主婦は、税金面や社会保険料なども考慮すると大変な優遇を受けていることになります。
専業主婦のデメリットは?
専業主婦で第3号被保険者になる場合、年収(130万円以下)を抑えて働いた場合は、労働条件によっては、
■雇用保険
に加入できない場合があります。
この「雇用保険」がどのような制度かと言うと、労働者が失業した場合に必要な給付を行ってくれ、また、再就職を援助してくれる制度が該当します。
援助に関しては、よくテレビなどで聞く、公共職業安定所(ハローワーク)が該当します。
雇用保険の詳しい内容は、厚生労働省「
雇用保険制度」を参照して下さい。
それでは、「雇用保険」の加入できる条件を見ていきます。
■1週間の所定時間が20時間以上
■継続し31日以上雇用(見込でもOK)
上記の条件がある為、年収制限などを行っている専業主婦では、1週間に20時間以上の労働は、非常に厳しく「雇用保険」に加入できない方もいます。
その為、専業主婦は、雇用保険に加入できないため、急にパートを解雇された場合でも何も保障がありません。
2020年度の新型コロナウイルス感染が拡大した場合、パートの方も職を失った方も多くいると思います。
その為、「雇用保険」に加入していない専業主婦は、なにも保障がされません。
旦那さんの収入と奥さんのパートの収入で生活をしていた方は、かなり大変な目に遭ったのかもしれません。
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上記で記載しましたが、専業主婦(夫)は旦那さんの扶養になりますので、国民年金を納めることはありません。
専業主婦の方がどれくらい得をするのかと言うと
■月額で言えば約1.65万円
■年間で言えば19.8万円
の保険料を納めなくても問題ないことになります。
しかし、専業主婦がずるいと言うわけではなく、国民年金を納めたくても納められないルールになっていると言うことも忘れてはいけません。
専業主婦は、国民年金の保険料は納めませんが、65歳から受給できる年金は
■老齢基礎年金(国民年金)
を受給することが出来ます。
「老齢基礎年金」は、第1号被保険者(自営業・フリーランス)の方と条件は同様であり、老齢基礎年金は、20歳から60歳までの間に未納期間が無ければ
■月額:約6.5万円
を受給することができる大変優秀な保険です。
大変優秀な保険ではありますが、老後に受給できる年金額が「月額6.5万円」では心もとない金額なのは確かです。
専業主婦と同じ国民年金である、第1号被保険者(自営業やフリーランスの方など)の場合は、第1号被保険者だけが加入できる
■国民年金基金
■付加年金
に加入(任意)することで将来受給できる年金額を増額させることが可能となります。
「国民年金基金」「付加年金」は、終身で年金を受給することが出来ますのでこれほど優秀な制度はないのかもいしれません。
個人で加入する保険(年金)よりかは優秀な年金と考えられます。
しかし、「国民年金基金」「付加年金」に関して、専業主婦は加入はできませんので、65歳から受給する年金額を増やそうと思ってもなかなか増やすことが出来ません。
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その為、専業主婦の方が将来の年金額を増加させようとすると「iDeCo(イデコ)」に加入するしかありません。
この「iDeCo(イデコ)」の制度は、税金をいっぱい支払っている方が得をする制度となっており、年収が少ない、専業主婦にはお勧めしません。
要するに、「iDeCo(イデコ)」の制度では、運用した資金に伴い年末調整で所得税控除が行なわれる為、所得が多い方が得する制度になっています。
その為、年収が少ない専業主婦の方では、税金の優遇もほとんど得られません。
また、iDeCo(イデコ)で商品を購入したとしても不要な手数料が取られてしまいます。
そのことを考えると、とても専業主婦の方に「iDeCo(イデコ)」を進める気にはなりません。
実際に投資で運用を始めるのであれば、「つみたてNISA」が良いのかもしれません。
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お金は寝かせて増やしなさい
将来受給できる年金額が少ないと感じているのであれば投資信託のインデックス投資を検討してみては!
本のタイトル通りですが、「お金は寝かせて増やす」素晴らしい言葉です。
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過去に専業主婦の方が「iDeCo(イデコ)」に加入すべきかに関しての記事を記載していますので確認してみて下さい。
専業主婦優遇はこのまま続く?
次に専業主婦の税金・年金の優遇は、このまま未来永劫と続くのかを見ていきます。
実際に、年金だけで言えば、専業主婦の年金優遇に関しては、廃止案が出ているのも事実です。
過去にも専業主婦の年金優遇に関して、記事を記載していますので確認してみて下さい。
今後どうなるのか分かりませんが、年金の改革は5年ごとに行われます。
前回は、2020年に年金改革が行われましたので、次回は2025年に年金の改革が行われますので、最低限2025年までは、専業主婦の廃止はないと言い切れます。
しかし、年金の専業主婦の優遇(第3号被保険者)は、専業主婦の方が熟年離婚した場合にできたような制度です。
その為、なんの保障もなく専業主婦の年金優遇がなくなるとは思えません。
また、上記にも記載しましたが、専業主婦の国民年金保険料は、厚生年金加入者がまかなっています。
要するに1985年に第3号被保険者制度が出来た時に厚生年金の保険料率
■10.6%→12.4%
に増加しています。
その為、専業主婦から国民年金の保険料を徴収するのであれば、厚生年金の保険料率を下げる必要が出てきます。
上記の事を考えれば、せっかく回収できている厚生年金保険料を下げるとは思えず第3号被保険者制度はなんだかんだ言っても残っていくのではないかと考えます。
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しかし、第3号被保険者と言う制度が存続すれば、専業主婦の壁(年収:103万円や130万円)は今後も存在したままになります。
その為、実際、働けるのにもかかわらず、旦那さんの扶養でいるために働く時間をセーブしている方はこれからも出てきます。
そのことを考えれば、年収制限を廃止し、パートの方でも厚生年金に加入していただくと言うことの方が良いのかもしれません。
しかし、厚生年金に加入する主婦(パート)が増えると、別の問題が発生します。
厚生年金の保険料は
■労働者
■勤め先
が折半し厚生年金険料を納めることになります。
その為、厚生年金の加入者が増えれば、年金制度としては、大変うれしい事なのですが、納める保険料を折半しなければいけない企業としては負担が増加します。
下手をすれば、会社自体の経営が傾いてしまう可能性もあり、中小企業などでは経営を苦しめてしまう理由になります。
しかし、政府としては、厚生年金加入者を増やしたいのでしょうが、厚生年金加入者を増やせば企業も苦しくなり、単純に専業主婦の年金優遇を廃止すればよいと言うことでもありません。
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仮の話になりますが、専業主婦が全て、国民年金に加入したとします。
令和元年のデータになりますが820万人が対象となり、その820万人が国民年金に加入した場合、どうなるのかを考えて下さい。
今でも日本年金機構では、事務処理でミスが発生しています。
このことを考えれば、さらに、事務処理ミスも発生する可能性もあり、また、事務処理を行う担当の増員が必要ですので人件費も増加します。
どれくらいの人件費かは分かりませんが、単純に国民年金に加入する方が増えると言うわけではありません。
そもそも、専業主婦の国民年金保険料は、厚生年金から支払われているので単純に事務処理を増やし人件費を増やすようなことは考えられません。
このことを考えると、専業主婦の方の年金優遇が素直に廃止されるとは考えられません。
最後に:専業主婦の税金・年金は優遇されすぎ?
専業主婦だけではありませんが、会社勤めの旦那さんの扶養に入ると税金面などでの優遇はたくさんあります。
自営業やフリーランスの場合は、専業主婦の税金・年金優遇などには不公平を感じるのかもしれません。
しかし、上記にも記載しましたが専業主婦は、国民年金を納めようとしても法律的に納められないのも事実です。
そのことについて、専業主婦に「ずるい」「不公平」などと言ってもしょうがないことです。
しかし、専業主婦の方は、税金や年金などで優遇されているのも事実です。
年金だけで言えば、自営業やフリーランスの方のように
■国民年金基金
■付加年金
に任意加入することが出来ません。
専業主婦の方は、65歳から受給できる年金を増加させようとすると「iDeCo(イデコ)」か「つみたてNISA」、「個人保険」しかありません。
「iDeCo(イデコ)」に関しては、税制面での優遇がほとんどない専業主婦には、正直お勧めできません。
手数料などを考えると専業主婦の方が年金対策で行うのであれば「つみたてNISA」がおすすめなのかもしれません。
しかし、「つみたてNISA」は、あくまでも投資であり、元本割れする可能性もあります。
また、終身で年金を受給できるわけでもありませんので、一時的に年金を増やす程度しかできません。
そのことを考えれば、専業主婦の方の老後資金は心配になってくるのかもしれません。
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また、雇用保険に加入できなければ、いきなり、パート先で解雇されてもなんの保障もありません。
確かに、専業主婦の方は、いろいろな優遇をされているのも事実ですが、将来受給できる年金などを考慮すると本当に左うちわで安泰なのかは疑問に思います。
皆さんは、どのように思いましたか?
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