●2022/8/12に一部記事を更新しています。
今回は、第3号被保険者である専業主婦は優遇され過ぎており、第1号被保険者の主婦からは、「第3号被保険者制度はずるい」と言われている記事となります。
まず、第3号被保険者とはどのような方かと言うと、会社員や公務員に勤める旦那さん(奥さん)に扶養される専業主婦(夫)のことを指し年金制度での階層は以下の通りです。
まず、第1号被保険者の主婦から第3号被保険者である専業主婦(夫)がずるいと言われている最大の理由は、
■第3号被保険者(専業主婦)は、国民年金:約1.65万円(月額)を納めていないのに、65歳から老齢基礎年金(国民年金)を受給できる
と言うことがあげられます。
その為、第3号被保険者である専業主婦は優遇されすぎと忌み嫌われ、Yahoo知恵袋などでは、専業主婦たたきの投稿が目立ちます。
第3号被保険者である専業主婦の国民年金が納められていないため、国民年金の財源を圧迫する材料になっているから、保険料を納めろなどと言う声も聴きます。
確かに第3号被保険者(専業主婦)は、国民年金を納めていませんが、会社員や公務員が加入(第2号被保険者)する厚生年金から専業主婦の国民年金が納められています。
その為、第3号被保険者(専業主婦)が国民年金を納められていないと言うことは誤りとなり、専業主婦のせいで
■国民年金の財源が赤字になっている
と言うことは全くありません。
国民年金の財源が赤字になっているのは、少子高齢化が原因であり、納められる保険料よりも支払われる年金額が多いことが原因です。
その為、専業主婦は「ずるい」と言うのは、かわいそうな話になります。
※第3号被保険者は、国民年金保険料を納めたくても法律的に納める必要はなく、納めたくても納められないと言う事実もあります。
それでは、第3号被保険者(専業主婦)は、優遇されすぎなのかを以降に見ていきます。
詳細は以降に記載します。
以降は目次です。
目 次
前回の記事
専業主婦は優遇されすぎ?
これは、色々なところで聞く話になりますが、専業主婦は優遇され過ぎていると言う話を聞きます。
第2号被保険者(会社員・公務員)の扶養である専業主婦(夫)は、自営業やフリーランスの主婦とは違い色々な税制優遇があります。
そのうちの1つとして、第3号被保険者(専業主婦)は、国民年金を納めていなくても65歳から老齢基礎年金(満額:約6.5万円(月額))を受給することが出来ます。
2つ目以降としては、国民健康保険料を納めなくても健康保険証を入手でき、3割負担で病院の受診が可能となります。
さらに、40歳を過ぎても介護保険料を納める必要はなく社会保険料の納める額は非常に少なく済みます。
これは、旦那さんが勤める企業によって異なりますが、家族手当(会社の福利厚生)を受給できる企業もあります。
受給条件は色々あるが、専業主婦(夫)が年下の場合、奥さん※が老齢厚生年金の受給を開始すると「加給年金」を受給することができます。
※加給年金は、男女で受給条件は変わりませんが、以降の説明は女性を中心で記載します。
この加給年金は、一般的に年金の家族手当とも呼ばれています。
どれくらいの金額が受給できるのかと言うと、令和4年での金額になりますが、加給年金額(223,800円)と特別加算額(165,100円)の合計である
■388,900円
を年間に受給することが出来ます。
この加給年金は、奥さんが65歳の年金受給開始するまで支給される為、奥さんの年齢が若ければ若いほど加給年金を受給することが出来ます。
しかし、加給年金は、第2号被保険者が加入する厚生年金の特権であるため、第1号被保険者(自営業やフリーランス)の主婦は、受給することが出来ません。
その為、第1号被保険者である主婦からは、ずるいなどの不満がありますが、第3号被保険者を扶養している第2号被保険者は国民年金以上に保険料(厚生年金)を納めており、文句を言われる筋合いはありません。
加給年金の詳しい内容※は、日本年金機構の「
加給年金額と振替加算」から参照して下さい。※加給年金の受給額は、年度により異なりますので、最新の金額は、上記のリンク先から確認して下さい。
上記の専業主婦優遇の内容を考えれば、第3号被保険者(専業主婦)は、自営業の主婦と比べ優遇(専業主婦)の差は歴然です。
しかし、第3号被保険者を扶養している会社員や公務員の方は、納めている年金保険料も異なる為、優遇されているのも当然といえば当然の話になります。
その為、専業主婦の優遇を考えれば、旦那さんの年収がある程度あれば、旦那さんの扶養となり第3号被保険者としての優遇を受けたいと言う気持ちも分かります。
旦那さんのみの稼ぎで奥さんを専業主婦として生活をすると言うのであれば、年収は約640万円以上は必要と考えます(お子さんの扶養人数にもよりますが)。
■旦那さんの働いている場合
夫婦のみ世帯 :642万円
夫婦と子供1人:685万円
夫婦と子供2人:714万円
※上記金額は、専業主婦の家庭での平均年収をe-Stat 政府統計の総合窓口の「<貯蓄・負債>貯蓄及び負債の1世帯当たり現在高」「妻の就業状態,世帯類型別」から参考にしています。
過去に専業主婦になる為には旦那さんの年収はいくらか必要か?に関しての記載をしていますので興味があれば確認して下さい。
また、以降にも記載しますが、第3号被保険者の場合は、年収が130万円までならば、旦那さんの扶養扱いになりますので年収をセーブし働く方もいます。
その為、専業主婦の年収の壁である「年収130万円の壁」についてを以降に見ていきます。
年収130万円の壁
第3号被保険者(専業主婦)が何ら頭の理由で働けない理由としては、親の介護、子供の出産・育児、病気などがあげられます。
しかし、実際は、働けるのにも関わらず第3号被保険者で扶養されるために年収を130万円(一部106万円)でセーブしている専業主婦(夫)も存在します。
その為、パートなどの時短勤務で収入があるのにもかかわらず、扶養範囲内の年収103万円以下や130万円(一部106万円)以下に抑え、国民年金を納めない専業主婦(夫)に対して納得できない方がいるのも事実です。
さらに、年収が100万円以下であれば、市民税、所得税も免除され全額非課税でパート代を手元に入ることも可能です。
この非課税部分や国民年金などの社会保険料も扶養範囲内で働くことで納めなくて良いと言うことが専業主婦のメリット(優遇)であると考えられます。
その為、この「扶養範囲内」と言う働き方が女性の社会進出を阻んでいることも事実であり、現在、パート主婦に対する厚生年金に加入するハードルを下げているのも事実です。
現在では、パート主婦の年収※に関しても
に変更し、労働時間に関しても「週20時間以上」のパート労働するものに対して、企業規模の大きい企業から厚生年金に加入するよう制度改正を実施しています。
※年収106万円の壁に関しては、年収の定義が専業主婦の壁と言われる130万円とはだいぶ異なりますので、興味がある方は、下記の記事を参照して下さい。
その為、企業規模が以下の従業員数で変更されています。
■2016年10月:501人
■2022年10月:101人
■2024年10月:51人
上記の従業員数を変更していくことを考えれば第3号被保険者も徐々に第2号被保険者に変更することで
を納めていただこうと言う考えであることが分かります。
政府としては、第3号被保険者が将来受給できる年金が老齢基礎年金のみであり、受給できる年金額も少ない為、厚生年金に加入して下さいと言うことなのでしょう。
また、2016年に従業員数を501人に変更した時は、社会保険に加入した割合は、54.9%も増加したため、これから社会保険への加入が加速するのかもしれません。
確かに厚生年金に加入すれば、将来受給できる年金額が
となり、65歳から受給できる年金額は増加しますが、それほど増加するのかは、正直、疑問です。
本当に将来の老後のことを考えているのであれば、専業主婦もつみたてNISAやiDeCo(イデコ)に加入することをおすすめします。
※専業主婦は、iDeCoの加入をするのであれば、下記の記事を読んでからにしてください。手数料の取られ損になるだけかもしれないので。
それでは、次に専業主婦がどれくらいの推移で増えているのかを以降に記載します。
これは補足になりますが、専業主婦の優遇が「ずるい」と考えている方からすれば、企業規模を緩和するのではなく全ての企業を対象にすればよいと考えるのかもしれません。
しかし、厚生年金の保険料は厚生年金に加入している会社員と勤め先の企業が半々で収めています。
体力のある企業(大企業)は、問題ないのですが、中小企業などにしてみれば、厚生年金加入者が増加すると、企業が納める保険料も多くなり企業の負担が大きくなります。
その為、全ての企業を対象にしてしまった場合、企業側の負担も大きくなるため、これ以上の企業緩和を行うことは非常に難しいのかもしれません。
専業主婦の人口推移
上記までに専業主婦の優遇について記載しましたが、実際に専業主婦の人口推移はどうなっているのかを記載します。
厚生労働省の「厚生年金保険・国民年金事業の概況」から公開されている令和2年のデータから専業主婦は、793万人(-27万人)となっています。※カッコ内は、前年からの差
5年前(H27:915万人)からの数位を見ると、122万人の専業主婦が減少していることになります。
また、
共働き世帯と専業主婦の夫婦の割合になりますが、厚生労働省が公開している「令和3年版厚生労働白書」から分かるように、
■共働き夫婦が年々右肩上がりに推移
■男性雇用者と無職の妻からなる世帯は年々右肩下がりに推移
しています。
引用:厚生労働省 令和3年版厚生労働白書
その為、このペースで専業主婦が減少していくと、専業主婦と言う言葉自体が無くなってしまうのかもしれません。
第3号被保険者制度はずるい?
実際に働けるのにもかかわらず、扶養の範囲内で年収を抑え、社会保険料を納めない考えは、納税をしている人からは、ずるい・不公平と言ってしまうのも事実です。
それでは、全ての第3号被保険者から国民年金を採取しようとすれば、専業主婦(夫)世帯から見ればただの社会保険料の増税になります。
また、第3号被保険者の国民年金に関して言えば、会社員が加入している厚生年金から収められています。
厚生年金では、1985年に第3号被保険者制度が始まった時に、専業主婦の国民年金の財源確保のために厚生年金の保険料を増額しています。
その為、第3号被保険者が国民年金を納めていないのかと言うと納めていないわけではありません。
国民年金だけで言えば、第3号被保険者(専業主婦)は、国民年金を納めたくても納めることが出来ないのに「ずるい」と言うこと自体がおかしいのです。
しかし、これはあくまでも国民年金の話だけであって、他の優遇内容を緩和みれば自営業の主婦から見れば「ずるい」と言われてもしょうがないのかもしれません。
最後に:専業主婦は優遇されている?
どうでしょうか?
第3号被保険者制度はずるい|専業主婦は優遇されすぎ
に関して記載しました。
確かに第3号被保険者制度があるばかりに、本来、働ける女性が、年収130万円の壁を意識し労働時間を抑えているのも事実です。
第3号被保険者である専業主婦は、旦那さんの扶養の範囲でいると
などは納めなくても問題ありません。
その為、第3号被保険者はずるいと言う話も理解できます。
しかし、第3号被保険者は、老後に受給できる年金は、国民年金のみであるため、将来受給できる年金額が少ないのも事実です。
第1号被保険者(自営業)の主婦のように
のどちらかに加入することはできません(これは、第1号被保険者優遇となります)。
その為、第3号被保険者の主婦は、将来受給できる年金額を増加させようとするとiDeCo(イデコ)くらいしか方法がありません。
しかし、専業主婦は、iDeCo(イデコ)最大のメリットである「掛金が全額所得控除」となるメリットがほとんどありません。
その為、老後に受給できる年金額を増やそうとすると第3号被保険者(専業主婦)は、あまり方法がありません。
確かに、第3号被保険者の専業主婦優遇は、第1号被保険者からは、不公平感を感じるのも事実です。
しかし、将来の年金事情を考えれば、どちらが優遇されているのかは疑問を感じえます。
若いうちに楽をし、老後に苦労をすると言う考えが良いかは疑問です。
皆さんは、どのように思いましたか?
コメントがあれば、よろしくお願いします。
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趣味で始めたFPの資格取得からブログを書き始めました。
記事の内容に関しては、うそを記述しているつもりはありませんがこれはなどの話があれば、コメントをください。
皆さんの幸せのお手伝いができれば幸いです。
本記事は、2022.8.12に修正を行っています。
2022.7.27、2022.4.27、2022.3.17、2022.1.5、2021.12.07、2021.10.22
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コメント
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> その為、第1号被保険者である主婦からは、ずるいなどの不満がありますが、第3号被保険者を扶養している第2号被保険者は国民年金以上に保険料(厚生年金)を納めており、文句を言われる筋合いはありません。
については2号被保険者の共働き、独身世帯からは全然納得いかないです。
説明が全く理解できない。
保険料払ってないにも関わらず貰えるものは貰える時点で「ズルい」んですよ
2023/02/10 URL 編集
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コメントを頂いた通り、専業主婦(第3号被保険者)の国民年金の保険料は第2号被保険者から徴収されています。
そのため、共働き夫婦や独身の方からは「ずるい」と言われてもしょうがないです。
※私もそのように感じます。
しかし、第2号被保険者の場合でも、社会保険料を世帯年収と考えた場合、仮に、旦那さんの年収が800万円、共働きで世帯年収800万円とした時、社会保険料の納めている額はどちらの夫婦も変わりませんが、所得税を比べれば、専業主婦世帯の方が多く納めることになります。
そのため、第2号被保険者でも世帯年収で考えた場合、本当に専業主婦は「ずるい?」と言うのが私の考えです。
(独身の方からは、何言ってるの?とは思いますが)
そもそもの社会保険の考え方になりますが、各労働者の助け合いで成り立っています。
「亡くなってしまった」「働けなくなった」方をみんなで助ける保険です。専業主婦の方も全てが働きたくても働けない方はいます(すべてではありませんが)。
親の介護、子供の育児、病気など色々な方がおり、全ての第3号被保険者を否定するのはどうなのかと思います。
しかし、旦那の稼ぎが良くただ働きたくないと考える方もいるのは事実です。
そのような方の話を聞くと、「なんで私が肩代わりしなければいけないの?」とは思います。
そのため、第3号被保険者制度は、今後、縮小、廃止に向かって行きます。
2023/02/23 URL 編集