老後の収入の柱となる公的年金は、2年連続で減額されており、老後の生活を送る為に年金以外の貯蓄をどのように準備するかが問題となっています。
さらに、テレビなどの報道で年金だけでは生活が出来ないと言われている世帯を見ると
■国民年金を納めていない期間がある方
■自営業の方(老齢基礎年金のみ)
■自営業で且つ旦那さんが亡くなってしまった奥さん
などが、公的年金だけでは生活が出来ないと言われているケースが目立ちます。
厚生年金に加入していた高齢者で年金が足りないと言われている方は、
■家のローンが残っている
■妻の介護が必要になった
■子供の教育費が
などの要因で年金だけでは厳しいと言う方がいるようですが、全体的には少数のようです。
とは言え、実際に会社員が受給する年金額がどれくらいなのかと言えば、厚生労働省年金局が公開した令和2年度の厚生年金保険料の平均額は
■144,366円
となっており、住む家自体が持ち家か賃貸かで変わりますが、約14万円の年金では、1ヵ月生活するのはかなり厳しい年金額なのかもしれません。
上記の年金額は、裕福な高齢者から生活が困窮している高齢者が受給できる平均年金額であるため、実際に受給できる年金額ではないことは理解して下さい。
その為、実際に受給できる年金額に関しては、
■誕生月に送付される「ねんきん定期便※」
■日本年金機構から「ねんきんネット」
※50歳以上の年金定期便で老齢年金の種類と見込額が分かります
で将来受給できる見込年金額を確認してみて下さい。
実際に、自分が受給できる年金額を理解しているのと理解していないのでは、老後に対するお金の心配が変わってきます。
その為、自分(夫婦)が受給できる年金額がいくら受給できるのかは、確認してみて下さい。
また、今回の記事のテーマでもある、会社員が公的年金受給額を増やすことを考えた場合は、
■できる限り長く働き(厚生年金に加入)
■たくさん保険料を納める
ことが老齢厚生年金を増やす方法となりますので、60歳以降も厚生年金に加入し働くことで、老後に受給できる年金を増やすことが可能になります。
以降に、男女別の平均年金受給額と最頻値、60歳以降どれくらい働くことで公的年金を増額させることが可能なのかを見ています。
詳細は、以下に記載します。
以降は目次です。
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目 次
前回の記事
会社員が受給する公的年金額は?
会社員が受給する公的年金額は、厚生労働省年金局が公開している「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から見てみると 144,366円 を受給しており、男女別で見てみると
■厚生年金(老齢厚生年金)
男性:164,742円
女性:103,808円
となっており、男性よりも女性が受給できる年金額が少ないことが分かります。
共働きの夫婦で考えた場合、268,550円を稼ぐこととなり、老後2,000万円問題となった夫婦の支出額263,717円を見てみると、共働き夫婦では、支出の差がプラス(+4,833円)となっている為、共働き夫婦は老後2,000万円問題とは関係ないことが分かります。
その為、会社員で公的年金を増額させ老後は裕福な生活を送りたいのであれば、共働きで働くことで公的年金を増やす方法を考えるべきです。
また、上記のグラフで確認してみると、男性の平均年金受給額:164,742円となっていますが、最頻値(最も山の高いところ)を見ると
■17万円~19万円
を受給している方が多くいることが分かります。
女性の場合は、給与の少なさや育児や産休などの要因もある為、平均年金受給額:9万円代と男性と比べると非常に少ない金額であることが分かります。
その為、会社員で年金額が少なく女性の場合は、老後貧困となってしまう可能性が高く、公的年金額をどのように増額させていくかを検討する必要があります。
以降に、会社員でも年金を増やすためには、実際にどのような運用を行えばよいのかを考えていきます。
ポイント
■会社員の公的根金額は、男性よりも女性の方が少ない
■共働き夫婦では老後2,000万円問題はあまり関係が無い
会社員の年金を増やすには
会社員が受給できる年金は老齢厚生年金であり、この老齢厚生年金を増やすことを考えた場合、
■できる限り長く働き(厚生年金に加入)
■たくさん厚生年金保険料を納める
ことが重要となります。
しかし、厚生年金保険料をたくさん納めると言うことは、4月~6月の給与や賞与を増やすことで、厚生年金保険料をたくさん納めることが可能になります。
しかし、給与や賞与は、言うほど増額させることは難しく、もっとも手っ取り早い方法としては、
■できる限り長くは働く
と言うことが重要です。
その為、60歳で会社を定年退社するのではなく、65歳、70歳まで働くことで長く厚生年金保険料を納めることが可能となります。
それでは、実際に、60歳以降も働いた場合、どれくらいの公的年金が増えるのかに関して見ていきます。
定年退職以降に働いた場合の年金増加額は
それでは、60歳以降も働いた場合、どれくらい年金額が増えるのかを見ていきます。
簡略的な計算となりますが、老齢厚生年金の算出式は、以下の式で算出可能です。
■老齢厚生年金の算出式
平均標準報酬額×5.481÷1000×厚生年金加入月数
上記式で、平均年収が200万円~400万円の場合、5年間(60歳~65歳まで)、10年間(60歳~70歳まで)、厚生年金に加入した場合の老齢厚生年金の増加額を見ていきます。
平均年収 |
60歳~65歳まで |
60歳~70歳まで |
200万円 |
年間:54,810円 月額:4,568円 |
年間:109,620円 月額:9,135円 |
300万円 |
年間:82,215円 月額:6,851円 |
年間:164,430円 月額:13,703円 |
400万円 |
年間:109,620円 月額:9,135円 |
年間:219,240円 月額:18,270円 |
月額にすると少ない金額に見えますが、上記金額は、終身で受け取れる年金額です。
その為、公的年金を増額させたいと考えているのであれば、70歳まで厚生年金に加入することが良いのかもしれません。
ポイント
■老齢厚生年金は、長く働くことで年金受給額が増える
■65歳よりも70歳まで働く方が多くの年金を受給できる
65歳以降の働く時の注意事項
公的年金を多く受給する為には、70歳まで厚生年金に加入することで受給する年金受給額を増額させることが可能です。
しかし、65歳以上も厚生年金に加入し働いた場合、高齢者いじめの制度である「在職老齢年金制度」と言うものに注意する必要があります。
これは、毎月の報酬額が47万円※を超えた場合、受給する老齢厚生年金額が減額される制度です。
※毎月の報酬額+受け取る老齢厚生年金
その為、65歳以降も厚生年金に加入し働いた場合、報酬額47万円を超えないように調整する必要があります。
それでは、年金を繰下げる支給をすることで、老齢厚生年金は受給しないことを選択しても、
老齢厚生年金は減額されることになるので注意して下さい。
せっかく、働きながら年金を増額させようと考えても、在職老齢年金制度のおかげで、年金が思うように増加しないと言うことになります。
在職厚生年金制度は、あくまでも、老齢厚生年金が対象となるので、老齢基礎年金は対象にはなりません。
ポイント
■65歳から働く場合は報酬額が47万円を超えないように調整
■在職老齢年金制度は年金の繰下げ支給をしても減額される
■在職老齢年金制度の対象は老齢厚生年金のみ
iDeCo(イデコ)に加入
■iDeCoとは
公的年金とは別に自分で決めた額(掛け金)を積立て運用することで、60歳以降に一時金、又は、年金で受け取ることが可能で、大きな税制優遇を受けることができます。
会社員の場合は、毎月の掛け金の上限額は、1.2万円、2万円、2.3万円のいずれかで加入することが可能です。
iDeCoの運用で発生した運用益は、NISA制度と同様に非課税で運用が行うことができます。
また、会社員の場合は、払った掛け金は全額所得控除の対象となる為、税金をたくさん納めている方にはお勧めの制度です。
しかし、デメリットとしては、
■60歳まで積立てた資産が引き出せない
■手数料が採取される
■控除額が少ないと手数料で損失が出る場合がある
ことがあげられます。
iDeCoの手数料に関しては、払った掛け金が全額所得控除となる為、問題ないかもしれませんが、運用する商品によっては、手数料の払い損になる可能性がありますので
■元本保証型の商品
などで運用することはお勧めしません。
リスクはありますが、手数料の安くインデックスファンドで運用をすることをおすすめします。
同じようなインデックスファンドの商品が複数あり、商品を選ぶことが大変ですが
■購入、売却手数料が無い
■信託報酬が安い
■償還日の設定が無い
■分配金が出ない
■純資産残高が多い
■トータルリターンが高い
商品を選ぶことをおすすめします。
松井証券で取り扱う投資信託は、ノーロード(購入時手数料無料)と低コストを意識した商品でラインナップされています。投資信託を始めたいと言うのであれば、松井証券で口座開設を行ってみてはどうでしょうか?
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くれぐれも銀行や証券会社の言い値で商品を購入してはいけません。
自分の老後資産になる商品ですので後悔しないように選んでください。
ポイント
■iDeCoは60歳になるまで現金を引出せない
■不思議な手数料が取られる為、
元本保証の商品では損失が出る場合がある
控除額が少ないと手数料で損失が出る場合がある
繰下げ支給で公的年金を増やす
65歳になると公的年金を受給することができますが、受け取れる公的年金を遅れさせることで年金額を増額すことが可能です。
増額する年金額は1ヵ月遅らせることで0.7%増額することが可能で、仮に、65歳から70歳まで繰下げると42%増加することが可能です。
また、75歳まで繰下げると84%の増額が可能です。
下記に、公的年金額が10万円の場合の繰下げを行った場合の支給額の例を見てみます。
■70歳まで繰下げた場合
14.2万円
■75歳まで繰下げた場合
18.4万円
下記に、男性と女性の平均寿命と中央値、繰下げ受給を行った時の男女別の損益分岐点を以下に示します。
※損益分岐点は、緑の枠(赤文字の金額)で記載しています
年金の繰下げ支給は、年金支給年齢を遅らせることで年金額を増やすことができますが、男性と女性では、公的年金で元が取れるか取れないかを考えると、男性は元が取れそうもありません。
75歳まで年金を繰下げるのであれば、男性よりも女性の方が良いのかもしれません。
しかし、年金が増えれば、税金も増えると言うことは忘れてはいけません。
また、下記に示す注意があるので、注意が必要です。
●加給年金
加給年金とは、年金の家族手当とも言われる年金となります。
受給条件は、旦那さんが老齢厚生年金を受給した場合、奥さんがまだ、老齢基礎年金の受取り前の場合、加給年金を受給することができます。
要するに、奥さんが年金受給前で、旦那さんが年金生活となり、世帯収入が少なくなった分を加給年金で補填すると言う意味合いの年金です。
しかし、支給条件:旦那さんが老齢厚生年金を受給開始してから奥さんが年金を受給するまでの間に388,900円/年間(配偶者のみ)を受給できます。
その為、旦那さんが老齢厚生年金を繰下げてしまうと加給年金を受給することができなくなるので注意して下さい。
加給年金も受給し、年金も繰下げたいと言うのであれば、繰下げる年金は、
■老齢基礎年金
だけを繰下げることで繰下げた期間の年金が増えることになります。
●在職老齢年金制度
在職老齢年金制度の注意事項は、上記に記載していますので確認して下さい。
ポイント
■繰下げ支給は公的年金を増やすことが可能だが税金などは増える
■報酬額47万円以上にならないようにする
■老齢厚生年金を繰下げた場合、加給年金が受給できなくなる
■加給年金を受給しながら年金の繰下げ支給をしたいのであれば、老齢基礎年金を繰下げる
つみたてNISAを利用し資産を増やす
実際に公的年金を増やそうと考えた場合、「厚生年金に長い間加入」し、「厚生年金保険料をたくさん納める」ことがあげられます。
また、厚生年金に加入しなくても、年金の繰下げ支給を行うことで公的年金を増やすことが可能ですが、年金繰下げ支給を行った場合は、繰下げた期間は年金を受取ることができません。
その為、繰下げ支給を行った場合は、繰下げた期間の収入源をどのように確保するかが重要です。
年金を受取れない期間の資産をiDeCoで運用した資産を取り崩すことも可能ですが、iDeCoに加入した場合は、60歳までお金を引き出すことができません。
iDeCoを老後の年金と考え運用するのはいいのですが、せっかく、資産があるのに60歳までお金が引き出せないのであればあまり資産としてはあまり意味がありません。
その為、私としては、資産運用を行うのであれば、まずは、iDeCoよりも「つみたてNISA」で運用を行い、つみたてNISAの年間運用額(40万円)よりも余剰金が残るのであれば
■iDeCo
で運用を行うほうが良いかもしれません。
老後の為の資産運用を行うのであれば、つみたてNISA、iDeCoの順で資産運用を行うべきなのかもしれません。
実際にお金が必要になっても60歳までお金が引き出せない資産では、使い勝手が悪く、もしものことを考えると、つみたてNISAでの運用が好ましいです。
松井証券で取り扱う投資信託は、ノーロード(購入時手数料無料)と低コストを意識した商品でラインナップされています。投資信託を始めたいと言うのであれば、松井証券で口座開設を行ってみてはどうでしょうか?
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ポイント
■iDeCoでは60歳まで資産が引き出せず使い勝手が悪い
■資産運用の観点からするとつみたてNISA→iDeCoの順で行うべき
会社員の年金を増やすためには
会社員が年金を増額させようと考えた場合、
■70歳まで厚生年金に加入
■厚生年金保険料をたくさん納める
■年金の繰下げ支給を行う
ことがあげられます。
年金の繰下げ支給を行う場合は、繰下げた期間は年金を受取ることができないので
■働くことで賃金を得る
■つみたてNISA・iDeCoの資産を取り崩す
ことで収入を得ることが可能です。
仮に65歳以降に厚生年金に加入した場合は、報酬額が47万円を超えると老齢厚生年金額が減額されるので、注意が必要です。
会社員の場合は、自営業やフリーランスの方とは違い、老齢厚生年金も受給できる為、そこまで、老後の生活には困らない可能性が高いです。
しかし、せっかく、今までいやいや働いてきたのにもかかわらず、老後にお金の心配はしたくはありません。
老後は裕福な生活を送りたいと言うのであれば、上記までに記載した運用方法で公的年金を増額させることで、お金に困らない老後生活を送りたいものです。
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お金は寝かせて増やしなさい
将来受給できる年金額が少ないと感じているのであれば投資信託のインデックス投資を検討してみては!
本のタイトル通りですが、「お金は寝かせて増やす」素晴らしい言葉です。
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皆さんは、どのように思いましたか?
コメントがあれば、よろしくお願いします。
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