今回の記事は、
専業主婦は扶養から外れるべきか?|扶養のメリットとデメリット
に関しての記載になります。
まず、「専業主婦は扶養から外れるべきか?」に関しての記載になりますが、扶養の有無に関しては、それぞれの夫婦の事情により異なります。
奥さんのパートの給与が生活費になると言う夫婦であれば、扶養から外れ働くことをおすすめしますが、生活費に余裕がある夫婦であるのであれば、
■扶養のメリット・デメリット
をよく理解し、「扶養を外れるべきか?」を検討することが重要です。
特に扶養の方は、下記のデメリットがあることは認識して下さい。
■働き方に制限(年収制限)がある
■パートをクビになっても保障が無い
■年金が老齢基礎年金のみで少ない
また、扶養を外れ働いた場合、厚生年金に加入する為、老後に受給する年金は増えるメリットがありますが、
■社会保険料を納める必要がある
■加給年金が受給できなくなる可能性がある
■遺族年金が減額される
と言うデメリットもあり、安易に扶養から外れたほうが良いと考えない方が良いです。
それでは以降に「専業主婦は扶養から外れるべきか」、また、
■扶養でいることのメリット、デメリット
■扶養でなくなった場合のメリット、デメリット
に関しても記載していきます。
詳細は以降に記載します。
以降は目次です。
目 次
前回の記事
専業主婦は扶養から外れるべきか?
まず、「専業主婦は扶養から外れるべきか?」を考える前に、扶養でいる場合のメリット・デメリットは何かを考える必要があります。
扶養でいる場合、老後に受給できる年金は老齢基礎年金のみの為、心細い年金額になりますが、扶養の場合は、
を納める必要はありません。
その為、年金が心細いと言うのであれば、納めていない保険料を「つみたてNISA」や「iDeCo(イデコ)」で運用することで老後の資産運用を行うことも可能です。
また、65歳からは年金を受給するのではなく年金繰下げ支給を行い、受給できる年金を増額させる方法もあります。
その為、厚生年金に加入するだけが年金を増額させる方法ではないことを理解して下さい。
また、年金繰下げ支給を行っている期間は収入源が無くなります(年金が受給できない為)が、上記で運用してきた老後資金を活用することで未収入の期間を無くすことも可能です。
その為、扶養の場合は、単純に老後の年金が少ないから厚生年金に加入しなければいけないなどと単純に考えるべきではありません。
それでは、
■扶養でいるためのメリット・デメリットは何か?
■扶養から外れた場合のメリット・デメリットは何か?
を考慮し、「扶養から外れるべきか」を検討してみてはどうでしょうか。
扶養であることのメリット
扶養である奥さんのメリットは以下の通り、各種保険料の免除、各種所得控除を受けることが出来ます。
旦那さんの扶養であるためには、給与の年収制限が130万円以下でないと扶養とならない為、働き方には制限が付きます。
しかし、ある程度年収を抑えることで、国民年金、健康保険料、介護保険料を納める必要が無いと言うメリットは大変魅力を感じます。
その為、本来働けるにも関わらず、年収制限を行う専業主婦もいる為、女性の働く力を減退させるとも言われています。
国民年金を納めずに老齢基礎年金がもらえる
まず、旦那さんの扶養となっている専業主婦は、年金の種類で言うと「第3号被保険者」と言う種類になります。
専業主婦は、年金の種類で言えば、国民年金に加入していますが、会社員の旦那さんの扶養と言うことで
の国民年金を納めなくても、65歳から老齢基礎年金を受取ることが出来ます。
このことで、専業主婦は、ずるいなどと言われる所以となります。
ポイント
■専業主婦は国民年金を納めなくても老齢基礎年金を受取れる
保険料を納めていないのに医療費は3割負担
健康保険に関しては、旦那さんの被扶養者となる為、奥さんの健康保険料は納める必要はありません。
また、健康保険証は、旦那さんが加入する健康保険組合から発行されることになり、医療費に関しては3割負担で受けることが出来ます。
その為、自営業やフリーランスの方は、国民健康保険料を納めていることを考慮すれば専業主婦は優遇され過ぎていると考えられてもおかしくないのかもしれません。
ポイント
■健康保険料を納めなくても健康保険証がもらえ医療費は3割負担
40歳以上でも介護保険料は納めない
介護保険に関しては、
■第1号被保険者:65歳以上
■第2号被保険者:40歳~64歳まで
と言う分類に分けられます。
介護保険料は、満40歳に達した時から生涯にわたり納めることになりますが、旦那さんの扶養である専業主婦は、介護保険料を直接納める必要はありません。
その為、旦那さんの扶養である間は、介護保険料を納めていなくても第1号被保険者となった場合、
■介護保険被保険者証
が交付され
■要介護認定 又は 要支援認定
を受けた場合、介護保険サービスが利用可能になります。
ポイント
■扶養である専業主婦は、40歳を過ぎても介護保険料を納める必要はない
配偶者控除・配偶者特別控除が受けられる
年末調整にて、以下の条件の場合、配偶者控除、配偶者特別控除と受けることが可能です。
しかし、旦那さんの扶養から外れない場合は、年収制限は130万円以下となります。
その為、給与所得で130万円以上でも、配偶者特別控除を受けることが出来ますが130万円以上では扶養扱いにはなりませんので注意して下さい。
■控除を受ける納税者本人(旦那さん)がその年の合計所得金額が1,000万円以下
●配偶者の年間合計所得が48万円以下(給与所得では103万円以下)の場合
→年末調整で配偶者控除を受けることが出来ます。
●配偶者の年間合計所得が48万円~133万円以下(給与所得では103万円以上、201万円以下)の場合
→年末調整で配偶者特別控除を受けることが出来ます。
配偶者控除・配偶者特別控除に関しては、国税庁の下記のアドレスに「概要」「要件」の記載があるので詳細は確認して下さい。
ポイント
■旦那さんの年収によるが年末調整で「配偶者控除」又は「配偶者特別控除」と受けることが出来る
家族手当を受給される場合がある
旦那さんの勤めている企業によって、家族(扶養)手当の受給有無が変わりますが扶養家族(配偶者や子供)がいる場合
を受給することが出来ます。
受給できる条件も勤めている企業によって異なります(年収制限:103万円以下、130万円以下など)ので確認してみて下さい。
ポイント
■旦那さんの勤務先によっては家族(扶養)手当をもらうことが出来る
所得税・住民税の免除が受けられる
給与所得で以下の給与以下の場合、住民税・所得税が課税されません。
■100万円以下:住民税が課税されません
■103万円以下:所得税が課税されません
その為、103万円以下で働くよりも100万円以下で働く方が住民税も所得税も課税されることはありません。
ポイント
■給与所得(年間)によっては、住民税・所得税が課税されない
加給年金を受給できる
旦那さんの扶養である専業主婦がいる場合は、年金の家族手当と言われる
を受給できることになります。
どれくらいの金額を受給できるのかと言うと、子供のいない夫婦で
を受給(年間)することが出来ます。
詳しい受給条件などは、過去に記事を書いているので確認してみて下さい。
しかし、ガッカリしないでほしいのですが、奥さんが年上だと受給はできません。
扶養であることのデメリット
続いては、旦那さんの扶養である専業主婦のデメリットに関する記載になります。
年金が老齢基礎年金のみで少ない
旦那さんの扶養である専業主婦は、国民年金に加入している為、65歳から受給できる年金は、
を受給することになります。
老齢基礎年金がどれくらいの年金が受給できるのかと言うと、20歳~60歳までの480ヶ月間、満額収めたとして
を受給することになり、正直、老後に生活する中で月額:約6.5万円と言う年金では、生活は困難となる金額です。
しかし、旦那さんが会社勤めの為、受け取れる年金は、老齢基礎年金より多く、日本年金機構が公開(令和3年時点)している夫婦での年金額は以下の通りになります。
■厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額(注1))
220,496円
(注1)
平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43.9万円)で40年間就業した場合に受け取れる年金額(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準
しかし、高齢夫婦の生活費などを考慮すると約22万円(月額)の年金だけでは、生活費が不足すると言うデータも出ています。
詳細は、過去に記事を記載していますので確認してみて下さい。
その為、専業主婦が老後に受給できる年金額は、老齢基礎年金だけでなく別の収入源も用意する必要があるのかもしれません。
ポイント
■扶養である奥さんが受給できる老齢基礎年金は月額:約6.5万円と少ない
働き方が制限される
旦那さんの扶養でいる場合は、給与所得(年間)を
に抑える必要があり、働く時間をセーブし給与所得を抑える必要があります。
(注2)
勤めているパート先によっては、給与所得が106万円になる場合もあるので勤め先に確認が必要です
その為、本来であれば、働くことが可能であるのにもかかわらず、給与所得をセーブする方が出てくることになります。
ポイント
■扶養の年収制限は130万円以下に制御する必要がある
パートなどをクビになっても保障が無い
会社員の方が勤め先を退社した場合、退社理由(自己責任・会社都合)・勤務年数にもよりますが、平均賃金(過去6カ月の賃金を180で割る)の
が支給(雇用保険)が行なわれます。
雇用保険の詳しい内容は、厚生労働省の「
雇用保険制度」を参照してい下さい。
しかし、パートなどの方は、雇用保険に加入する条件が
■週の所定労働時間が20時間以上
■継続して31日以上雇用される見込みのある者
となっており、週20時間以上の条件に該当せず、雇用保険に加入できない方が多いのではないでしょうか。
その為、急にパートをクビになってしまっても雇用保険のような制度はなく何の保証もありません。
ポイント
■年収制限により雇用保険に加入が出来ず、パートをクビになっても何の保証もない
ケガや病気の時の保障が少ない
会社員が加入する厚生年金とは異なり、専業主婦が加入する年金は、国民年金となります。
その為、病気やケガで働けなくなった場合などの保障が異なります。
どれくらいの保障が異なるのかは、過去に記事を記載していますので確認してみて下さい。
ポイント
■国民年金と厚生年金では、病気やケガで働けなくなった場合などの保障が異なる
扶養でなくなった場合のメリット
上記までに扶養であった場合のメリット・デメリットを記載してきましたが、扶養でなくなった場合のメリットは、上記に記載したデメリットの裏返しになります。
●将来受給できる年金が増える
将来の受給する年金が老齢基礎年金だけでなく、老齢厚生年金も受給できるため老後に受給する年金額も増えることになります。
●働き方に制限をうけなくなる
扶養の場合は、給与所得が130万円以下(一部の企業では106万円以下)となっていますが、扶養から外れている為、給与所得の年収制限は無くなります。
その為、働き方に制限を受けなくなることになります。
●働けなくなった場合の補償が受けられる
雇用保険に加入することになるので、会社を退社(自己都合・会社都合)した場合でも雇用保険から給与の保障を受けることが出来ます。
また、正社員で勤めていたのであれば、退職時、退職金も受給できる場合があるので、パート勤務と比べると金銭面での保障が断然と有利になることが分かります。
●ケガや病気などで働けなくなった場合の補償が手厚くなる
扶養から外れ働くことになるので厚生年金に加入することになるので病気やけがで働けなくなった場合は、
を受取れるようになります。
また、厚生年金加入者が亡くなってしまった場合は、
も受給できるようになるので、扶養の時の保障とは断然と有利になります。
どれくらい有利になるのかは、過去に記事を記載していますので確認して下さい。
扶養でなくなった場合のデメリット
扶養でなくなった場合のデメリットでありますが、今まで扶養でのメリットがすべでデメリットとなります。
まずは、会社員として勤めることになりますので、各種保険料などを納めることになります。
■厚生年金
■健康保険
■介護保険※40歳から
■雇用保険
を納めることになりますし、また、税金として
を納めることになります。
また、旦那さんの扶養から外れる為、年末調整で免除されていた
も対象外となります。
さらに、年下の奥さんであれば受給できるかもしれない
が受給できなくなる可能性(注3)があります。
(注3)
奥さんの厚生年金加入期間が20年以下であれば受給することが可能です。
また、共働きの夫婦に関しては、旦那さんが亡くなった場合に受給できる遺族厚生年金が減額されることになります。
理由は、我々が受給できる年金は、1人1年金が原則(併給調整)となる為、奥さんが老齢厚生年金を受給していると
■遺族厚生年金(旦那さん)-老齢厚生年金(奥さん)
プラスの場合 :老齢厚生年金+プラス分の遺族厚生年金(非課税)
マイナスの場合:老齢厚生年金のみ
を受給することになります。
その為、奥さんが老齢厚生年金を受給していなければ、旦那さんの遺族厚生年金を非課税で満額受給できますが
奥さんが老齢厚生年金を受給している場合は、差額分のみを受給することになりますので注意が必要です。
最後に:専業主婦は扶養から外れるべきか?
どうでしょうか?
専業主婦は扶養から外れるべきか?|扶養のメリットとデメリット
に関して記載しました。
旦那さんの扶養から外れるべきかに関しては、その夫婦での生活環境に代わってきます。
その為、扶養から外れるべきなのかどうかは簡単に答えが出る話ではありません。
そもそも正社員で働きたいと言ってもそう簡単に職が見つかるとは思えません。
これは私の私見になりますが、正直、扶養でなくても生活が出来るのであれば、扶養から外れる必要はないと考えます。
その為、無理して扶養から外れて働くと言うことをしなくても良いのかもしれません。
しかし、扶養でいる場合は、下記に示すデメリットが存在すると言うことは理解して下さい。
■受給できる年金が少ない
■パートをクビになった場合の補償
■ケガや病気になった場合の補償
また、扶養から外れ仕事を始めれば、
ことになり老後のお金に対するリスクは軽減されるとは思われます。
しかし、仕事を行い、収入を得ると言うことは、それだけ、時間に余裕がなくなってくるのも事実です。
そのことを考え、扶養から外れるべきなのかどうかは今一度考えるべきではないでしょうか。
私としては、扶養内で生活が可能であれば、扶養内で働き、収入を「つみたてNISA」で運用を行い、それでも余剰金が残るようであれば「iDeCo(イデコ)」で運用を行う。
65歳→70歳まで年金繰下げ支給を行い、年金を増額させ、年金が受給できない期間を「つみたてNISA」や「iDeCo(イデコ)」で運用した資産で乗り切る
ことを行えば、無理なく年金を増やすことができると考えられます。
旦那さんにもしものことがあっても、遺族厚生年金と増額した老齢基礎年金で老後の生活は問題ないのではないかと考えます。
その為、ただやみくもに老後の年金が少ないから心配だと考えるのではなく、今の制度を利用すれば扶養の範囲内で生活をしていても問題ないと考えられますので今一度、
■扶養は外れるべきなのか?
を考えてみてはどうでしょうか。
今一度、扶養のメリット・デメリットを確認し本当に扶養から外れる場合なのかは考えてみてはどうでしょうか。
■扶養のメリット
・国民年金を納めなくても老齢基礎年金を受取れる
・健康保険料を納めなくても医療費は3割負担
・40歳を過ぎても介護保険料を納める必要はない
・年末調整で「配偶者控除」などの控除受けることが出来る
・旦那さんの勤め先によっては家族(扶養)手当がもらえる
・給与所得によっては、住民税・所得税が免除される
・加給年金を受給できる場合がある
■扶養のデメリット
・老後に受給できる年金が月額:約6.5万円と少ない
・扶養の年収制限は130万円以下に制御する必要がある
・パートをクビになっても保証がない(雇用保険に未加入の為)
・厚生年金とは異なり、病気やケガで働けなくなった場合の保障が異なる
皆さんは、どのように思いましたか?
コメントがあれば、よろしくお願いします。
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