今回の記事は、
ゆとりのある老後生活費は36.1万円|年金だけでは不足|どのような準備が必要?
に関しての記載になります。
公益財団法人 生命保険文化センターが行なった意識調査(令和元年)にて、夫婦2人で老後生活を送る上で必要と考えられる月額の平均は
となっています。
また、ゆとりある老後生活を行うための生活費は、上記の必要最低限の22.1万円に14万円をプラスした
の金額となります。
しかし、このゆとりのある老後生活を送ると考えた場合、夫婦で受給できる年金のみでは、生活を行うことはできません。
日本年金機構にて、夫婦2人(会社員の旦那さんと専業主婦の奥さん)で、標準的な年金額(令和3年)は、
と記載されており、ゆとりある老後生活を考慮した場合は、とても年金だけで生活することが出来ないことが分かります。
それでは、老後に受給する年金だけでは不足する14.1万円と言う金額をどのように賄うべきかを以降に記載します。
そもそも、自分の老後生活に月額36.1万円が必要なのかを考える方が先なのかもしれませんが。。。
詳細は以降に記載します。
以降は目次です。
目 次
前回の記事
ゆとりのある老後生活を送るには
ゆとりのある老後生活を送る為に必要な生活費は
が必要と言われています。
しかし、この金額は、あくまでも、意識調査での平均した金額です。
全ての高齢夫婦が「ゆとりある老後生活」を行う場合で必要な金額ではないと言うことは考慮して下さい。
この「ゆとりのある老後生活費:36.1万円」は、
■夫婦2人で老後生活を送る上で必要と考えられる
22.1万円(月額)
■ゆとりある生活でプラスされた
14万円(月額)
が合算された金額がゆとりのある老後生活費になります。
その為、ゆとりある生活でプラスされた14万円は、下記の図に記載のある「旅行やレジャー」、「趣味や教養」などが合算された金額になります。
引用:公益財団法人 生命保険文化センター
正直、老後の生活を行う上で、月額に「旅行やレジャー」「趣味や教養」などによって14万円を使用するのかは、疑問を感じえる金額です。
現役で働いている時ですら生活費以外で毎月14万円を旅行などに費やしたことがありません。
さらに言えば、月額14万円を年間で考えれば、娯楽費だけで年間168万円を使用することになりあまり現実的な金額とは考えられませんので
本当に将来のことを考えてゆとりある老後生活を考えているのであれば、
は考える必要があるのかもしれません。
考えた老後のビジョンで、本当に将来必要な金額はどれくらいなのかは考えるべきです。
ポイント
■ゆとりのある老後生活費:36.1万円
■上記の金額はあくまでも平均値であり、個人ごとで来必要な金額は異なります
年々伸びる平均寿命
若い方がこれから老後の生活を考慮した場合に考えなければいけないことは、どれくらい長生きするのかを考える必要があります。
2020年度の平均寿命が発表されましたが
■男性:81.64歳
■女性:87.74歳
となっており、男女との差は6.11歳
となっております。
また、内閣府 令和3年版高齢社会白書に記載されていますが、今後の平均寿命は下記の図の通り2065年には
■男性:84.95歳
■女性:91.35歳
となっており、男女との差は6.4歳
になると予想されております。
内閣府 令和3年版高齢社会白書から引用
その為、平均寿命は右肩上がりで上昇していることを考慮すると若い方が老後の為に貯蓄していかなければいけない金額は平均寿命を意識した貯蓄を行うべきと考えます。
上記に記載しているのはあくまでも平均寿命の話になります。
人間どれくらい長生きするか分かりませんので、安易に平均寿命ぎりぎりで老後のライフプランを考えると痛い思いをするケースが考えられます。
その為、老後の資産運用はある程度余裕を持った金額でライフプランを考慮するべきです。
ポイント
■平均寿命は右肩上がりで上昇
■安易に平均寿命で資産運用を考えるのは危険
年金のみでは不足する
まず、我々が受給できる年金額がいくらなのかを考えます。
これは、令和3年4月から受給できる年金額になりますが
■国民年金を20歳~60歳まで満額納めていた場合は
65,075円
■厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)の場合は
220,496円
を受給できると日本年金機構では公開されています。
上記の年金額を考慮し「ゆとりのある老後生活費(夫婦):36.1万円」と夫婦で受給できる老齢厚生年金の金額「約22万円(月額)」で不足分がどれくらいかを考えます。
上記の図にも記載していますが、ゆとりある老後生活を送る為に年金のみで生活を行った場合(注1)
が不足することになることになります。
(注1)
この夫婦のモデルは、会社員の旦那さんと専業主婦の夫婦をベースに考えられており、
■平均標準報酬(賞与含む月額換算)43.9万円
■40年間会社勤務
■奥さんは国民年金を満額納めていた
ことが条件となり、全ての方が、上記金額を受給できるわけではありません。
この為、ゆとりのある老後生活を行う場合は、月額:14.1万円の金額が不足することになりますが、これはあくまでも
■会社員と専業主婦のモデル
であり、
■共働き夫婦である場合は、14万円も不足はしないかもしれません。
また、
■自営業の方は、老齢基礎年金のみ(月額:6.5万円(満額受給))の為、不足する金額は14万円どころではありません。
全ての高齢夫婦が14万円を不足すると言うわけでもないので注意して下さい。
ポイント
■すべての夫婦が14万円不足するわけではない
年金以外の収入源を確認する
会社員の方をベースに記載しますが、会社を退職した後に受給できる金額ですが
を受給できる方もいます。
その為、自分が受給できる退職金、公的年金以外の企業年金がどれくらい受給できるのかは確認してみてみて下さい。
不足する金額が単純に14万円ではなくなる方もいるのではないかと考えられます。
また、自営業の方は、
に加入している方もいますので、夫婦で受給できる老齢基礎年金以外はどうなっているのかは、確認する必要があります。
老後に不足する金額が14万円も必要がない可能性がありますので。
ポイント
■公的年金以外にどのような収入があるのか確認する必要あり
若いうちからの貯蓄
仮に不足する金額14万円を65歳~95歳(30年)まで必要と考慮した場合、どのくらいの貯蓄をする必要があるのかと言えば
が必要となります。
ほんの少し前に話題になっていた老後2,000万円どころの話ではない金額です。
会社員の方をベースに考えますが、H30での平均の退職金の平均は
と言われており、退職金だけでも全く足りないことが分かります。
それでは、この不足する5千万円以上の金額をどのように運用を行っていくべきなのかを以降に記載しています。
複利の効果で運用資産を増やす
まず、複利に関しては、一度は名前を聞いたことがあると思いますが、あの天才物理学者のアルベルト・アインシュタインが
と言わしめたものです。
簡単に複利に関しての記載をしますが
預けたお金(元本)に発生する利子を元本に組み入れて運用する方式
要するに
1年目:元本+利子(あ)
2年目:(あ)+利子(い)
:
10年後:9年目の金額+利子
と運用資金が雪だまり式に増える運用になります。
特に複利の効果は期間を掛ければかけるほど効果が出ることになります。
どれくらい効果が出るのかを以降に記載しますが、まず、毎月3万円の積立てを年利4%で運用した場合、
10年と20年で運用した場合の運用利益がどれくらいなのかを記載します。
●複利で10年間運用した場合
●複利で20年間運用した場合
月額に積み立てる金額は同じですが、運用する期間が10年違うだけで約5倍の運用利益が出ることが分かります。
■10年:722,199円
■20年:3,520,108円
その為、老後の資産運用を行うのであれば、複利の効果で長期間積立てを行うことをおすすめします。
若い方は、とにかく老後までは時間があります。
最初のうちは、あまり利益が出てきませんが、運用期間が長くなれば長くなるほど複利の効果が出てくると言うことを忘れないで下さい。
ポイント
■複利の効果は運用する期間が長ければ長いほど効果が出る
銀行での貯金は効果なし
それではどのように資産を運用していけばよいのかを考えていきます。
一番手っ取り早い方法が銀行の定期預金で運用(複利)すればよいのですが、とにかく銀行の金利は低すぎます。
特に「普通預金で0.001%」「定期預金で金利が高くて0.01%」の金利であり
■普通預金に以下の年数運用しても
10年:16円の利息
20年:68円の利息
■定期預金に以下の年数運用しても
10年:162円の利息
20年:684円の利息
しか利益になりません。
また、上記の少ない利息に税金が課税されますので銀行で老後の資産運用を行うことは全く話にならないことが分かります。
ポイント
■銀行にお金を預けても利息はほとんど貰えません
投資信託での運用
上記までに記載しましたが、銀行の定期預金で運用を行ったとしても老後の資産運用としての効果が無いことが理解できたと思われます。
それでは、実際に、利回りが4%もあるような商品で運用を行うべきなのかを考えた場合、投資した元本を下回るリスクがありますが、
■投資する商品は
投資信託
■以下の制度を使用
つみたてNISA
iDeCo(イデコ)
で運用することで老後の資産を大きく利益を上げることが出来るかもしれません。
投資信託で運用した場合は、株式などのハイリスクな商品とは違い元本を割るリスクは減ることになります。
しかし、あくまでも投資信託は、投資ですので元本割れを起こすリスクはあるということは理解をしてください。
また、つみたてNISAやiDeCo(イデコ)で運用を行う場合は、購入できる商品が、金融庁のお墨付きの商品であるため、ハイリスクな商品はありません。
その為、投資初心者が運用を始めるためには、ちょうどよい運用方法になります。
しかし、投資信託を購入する上で注意が必要なのは
■インデックスファンドを購入
■信託報酬が少ない
■ノーロードの商品を購入
して下さい。
信託報酬は、基本的に年金の手数料と考えていただければよいので、できる限り安いものが良いです。
また、ノーロードの商品は、購入手数料が掛からない商品の為、できる限り、購入時、相客時の手数料が掛からないものを選ぶようにしてください。
投資信託には、主に
の2種類に分かれます。
インデックスファンドは、日経平均などの指数に連動する商品で信託報酬が安い商品と考えて下さい。
アクティブファンドは、インデックスファンドよりも利益を出すように運用する商品で信託報酬が高い商品と考えます。
上記の内容を聞くとアクティブファンドの方が良いような気になりますが実際の運用を見てみると
の方が利益を出していると言うデータが出ています。
また、実際に投資信託の利回りはどれくらい出ているのかと言う考え方に関しては、過去に記事を記載していますので確認してみて下さい。
ポイント
■投資を行うのであればリスクの少ないインデックスファンド
ゆとりある老後生活費は一生続かない
上記までに「ゆとりある老後生活」をおくる為に不足する資金に関しての記載を行ってきました。
それでは、この「ゆとりある老後生活費」が一生かかる費用なのかを考えると、そうでもないことが分かります。
正直、80歳、90歳で「旅行やレジャー」「趣味や教養」に毎月14万円が必要なのかは疑問です。
そのことを考えると、ゆとりある老後生活に関してもある程度の時期があると言うことは認識をするべきです。
その為、65歳~95歳までに毎月:14万円が不足した場合は、
が不足すると言う金額が出ましたが、体がどこまで健康かによってはここまで不足する金額はないものと考えます。
ポイント
■ゆとりのある老後生活費は一生かかる費用ではない
健康寿命を考える
実際の老後の生活を考えた場合平均寿命で何年長生きできるのかと言う話も重要なのですが、実際に考えなければいけないものは
を考える必要があります。
健康的な体でなければ、「旅行やレジャー」「趣味や教養」などとは言っていられません。
その為、老後で最も重要なものは健康寿命を考える必要があります。
通常の健康寿命の考えになりますが
と言われております。
この健康寿命を65歳からどれくらいの期間があるのかを考えると
■男性:7.14歳(72.14歳-65歳)
■女性:9.79歳(74.79歳-65歳)
となり、ゆとりのある老後生活を送ろうと考えると、10年も遅れないことになります。
しかし、上記でも記載しましたが、平均寿命は年々と伸びてきています。
その為、健康寿命も今後伸びていくことを考慮すれば安易に10年間はゆとりのある老後生活と考えてはいけないかもしれません。
仮に10年間、ゆとりある老後生活を送りたいと考えた場合は、
の資産が必要となります。
この1,680万円を複利の効果で運用をした場合、
で必要額を調達することが出来ます。
要するに35歳くらいから運用を行えれば可能な金額と言うことは理解して下さい。
無理のない貯蓄を心がける
上記までにゆとりある老後の生活費の運用方法に関して記載してきましたが、投資はあくまでも
で行ってください。
いつどのような未来になるのか分からない老後の為に現在の生活費を無理して工面する必要はありません。
そのようなことをしていては、貯蓄は必ず進みませんし、そもそも投資が楽しくなくなります。
折角、長い時間をかけてお金を育てていくのであれば苦労なく楽しんで投資を行って行ければと考えています。
最後に:ゆとりある老後生活とは
どうでしょうか?
ゆとりのある老後生活費は36.1万円|年金だけでは不足|どのような準備が必要?
に関して記載しました。
ゆとりのある老後生活費に36.1万円が必要と言うことにあまり賛成はできません。
36.1万円を年収換算で考えれば、433万円となり日本の平均年収(2020年度)と同様の金額になります。
この金額が本当に必要なのか。
毎月「旅行やレジャー」「趣味や教養」で14.1万円が必要なのかは疑問が残ります。
その為、ゆとりのある老後生活費である36.1万円をあまり真に受けるべきではないのかもしれません。
我々が老後の生活を行うにあたり
ポイント
■必要な金額はいくらなのか
■年金は夫婦でいくら受給可能か
■年金以外の収入はどれくらいあるのか
を考え、不足してしまう金額はどれくらいになるのかを考えるべきです。
そうすれば、投資信託で運用するためには、どれくらいの積立てが必要でどれくらいの金を運用すれば良いのかが分かると考えられます。
安易にゆとりある老後生活を考え、老後に不足する金額は約5千万円と単純に考えていけません。
自分(夫婦)で本当にゆとりがある生活とはどういうものかを考え、不足する金額はどれくらい必要なのかを考えていく方がとても現実的です。
皆さんは、どのように思いましたか?
コメントがあれば、よろしくお願いします。
コメント