共働き夫婦の奥さんと、専業主婦の奥さんでは、旦那さんが亡くなった場合に受給できる遺族厚生年金がとても不公平だと言うことをご存知でしたか?
上記で言う「共働き夫婦」の条件は、会社勤め(第2号被保険者)の方を指し、専業主婦の条件は、会社員の扶養である奥さん(第3号被保険者)を指します。
第2号被保険者と第3号被保険者を下記の図に簡単に示しています。
遺族厚生年金の不公平な理由は、年金には「併給調整」と言う制度があり、共働きの奥さんは、本来受給できるはずの遺族厚生年金が受給できません。
具体的に併給調整と言う制度を簡単に記載すると、下記のルールになります。
併合調整のルール
● 我々が受給する年金は、1人の人が複数の年金を受給することが出来ません
これのルールは、あまり知られていませんが我々が受給できる年金は、1人1年金と言う考えとなります。
その為、共働き夫婦の旦那さんが亡くなった場合、奥さんが65歳となり老齢厚生年金を受給すると「併給調整」が行なわれ、旦那さんの遺族厚生年金が満額受給できなくなります。
1人1年金のルールになる為、奥さんは、老齢厚生年金と遺族厚生年金の2つの年金を受給することが出来ないと言う考えになります。
専業主婦の場合は、老齢厚生年金を受給できません※ので、遺族厚生年金を受給することが出来ます。
※結婚する前に会社員であった場合は、老齢厚生年金を受給することはできます。
要するに、旦那さんが亡くなった場合、専業主婦が受給できる年金は、老齢基礎年金と遺族厚生年金を受給(1人1年金)することになります。
併給整合で遺族厚生年金が全て受給できないのかと言うとそうではなく、受給できる条件は、下記の通りとなります。
旦那さんの遺族厚生年金
■ ≧ 奥さんの老齢厚生年金
遺族厚生年金(旦那さん)-老齢厚生年金(奥さん)の差額を受給
■ < 奥さんの老齢厚生年金
旦那さんの遺族厚生年金を受給できません
また、受給できる遺族厚生年金に関しては、旦那さんの老齢厚生年金部分の3/4の金額を受給(非課税)で受給することになります。
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それでは、1人1年金と言うルールである「併給調整」と言う制度はどのような制度なのかを以降に見ていきます。
詳細は以降に記載します。
以降は目次です。
目 次
前回の記事
併給調整とは
併給調整とは、どのような制度なのかを見ていきます。
●併給調整とは
一人の人が複数の年金受給者となる場合は、いずれか一つの年金を選択しなければいけないと言う制度になります。
具体的には、一人の方が複数の年金を受給してしまった場合、年金の過剰給付となる為、年金を受給すると言う考え方は、「1人1年金」と言う考えとなります。
複数の年金とは、何を指しているのかと言うと、下記の年金が該当します。
● 65歳から受給できる年金には、老齢基礎年金と老齢厚生年金
● 病気やケガで働けなくなった場合は、障害基礎年金、障害厚生年金
● 遺族が亡くなった場合は、遺族基礎年金、遺族厚生年金
しかし、年金制度は非常に複雑であり、1人1年金と言う、併給(受給)できる年金の組合せは以下の通りとなります。
年金種類 |
老齢基礎 |
障害基礎 |
遺族基礎 |
老齢厚生 |
〇 |
△ |
✕ |
障害厚生 |
✕ |
〇 |
✕ |
遺族厚生 |
△ |
△ |
〇 |
〇:基礎年金と厚生年金の為、併給可能
△:例外的に65歳以上の場合、併給可能
×:併給不可
その為、65歳以上の場合は、老齢厚生年金と遺族厚生年金は併合可能となります。
それでは、受給する遺族年金が併給受給されるどれくらいの金額を受給できるのかを以降に見ていきます。
併給調整される金額はいくら受給できる?
まず、「遺族厚生年金」「老齢厚生年金」の併合調整の金額がどのように決まるのかを以下に見ていきます。
併合調整後の遺族厚生年金は、
① 遺族厚生年金
② 遺族厚生年金×2/3+本人の老齢厚生年金額×1/2
①、②の金額で大きい方から老齢厚生年金を減額した金額となり、併合調整後の遺族厚生年金をなることになります。
それでは、具体的に、どのような金額を受給できるのかを見ていきます。
Aさんは、65歳までに遺族厚生年金を60万円受給
その後、65歳から下記の年金を受給できると仮定した場合、年間、月額でいくらの年金が受給できるのかを見ていきます。
■ 老齢厚生年金:30万円
■ 老齢基礎年金:65万円
まず、「遺族厚生年金×2/3+本人の老齢厚生年金額×1/2」を算出します。
計算式
● 60万円 × 2/3 + 30万円 × 1/2 = 55万円
①遺族厚生年金:60万円②上記で算出した55万円
①と②を比較した場合、遺族厚生年金の60万円が大きい金額になるので、
を算出すると併給調整の金額が30万円となります。
その為、Aさんが受け取れる年金額は、
■ 老齢基礎年金 :65万円
■ 老齢厚生年金 :30万円
■ 併給調整の金額:30万円
となる為、上記金額を算出(65万+30万+30万円)すると、Aさんが年間に受給できる年金額は、125万円(月額:104,166円)の金額を受給することになります。
実際に旦那さんが亡くなった場合、遺族年金をどれくらい受給できるのかを令和2年のデータで見ていきたいと思います。
実際に受給できる遺族年金は?
令和2年のデータになりますが、実際に受給している遺族年金に関しては、厚生労働省からデータが公開されています。
それでは、令和2年での遺族年金の受給額は以下の金額となっております。
■ 遺族基礎年金:84,173円
■ 遺族厚生年金:82,947円
上記の金額は、あくまでも受給できる遺族年金の平均の金額になります。
必ずしも上記の金額を受給できるわけではないので、実際に受給できる遺族年金の受給条件などは過去に記事を記載していますので確認してみて下さい。
最後に:共働き夫婦が不公平な遺族年金とは
どうでしょうか?
遺族年金|共働き夫婦は不公平|働くほどもらえない!
に関して記載しました。
我々が受給できる年金は、1人1年金と言う考えの為、同じ部類の老齢厚生年金と遺族厚生年金を同時に受給することが出来ません。
その為、共働きの夫婦の場合、実際に受給できる老齢厚生年金の額が夫婦でほぼ同じ場合は、遺族厚生年金を受給することが出来ないと考えて下さい。
遺族厚生年金を受給できる条件としては、奥さんの受給できる老齢厚生年金が旦那さんの遺族厚生年金よりも少ない場合、併給調整された遺族年金を受給することが可能になります。
しかし、老齢厚生年金を受給しない専業主婦(第3号被保険者)では、少し事情が変わります。
第3号被保険者である専業主婦は、厚生年金に加入していない為、老齢厚生年金は受給できません。(結婚前に厚生年金に加入していた場合は、受給はできます)
その為、専業主婦は、会社員の旦那さんが亡くなった場合、基本的には、満額で遺族厚生年金(非課税)を受給することが出来ます。
このことを考えると、共働きで働く夫婦は、非常に不公平を感じると思われます。
下手をすれば、遺族厚生年金を非課税で受給できますので、専業主婦は多くの年金額を受給できる可能性があります。
共働き夫婦の場合、奥さんの方の受給する給与が多かった場合や旦那さんと同じ金額であった場合は、遺族厚生年金を受給できないと言うことになります。
その為、遺族厚生年金だけを考えると、今まで働いて納めていた厚生年金は一体何だったのかと考えてしまうかもしれません。
しかし、遺族厚生年金に関してだけ言えば、もっと不公平と感じられる男女の違いがありますので、興味がある方は確認をしてみて下さい。
皆さんは、どのように思いましたか?
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本記事は2022/5/12に記事を訂正しています。
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2023/10/20 編集