今回の記事は、
国民年金のみで老後の生活は可能か?どうすれば年金は増やせるのか?
に関して記載します。
我々が加入する年金の種類は、以下の3種類に分かれることになります。
第1号被保険者は、自営業やフリーランス、学生、無職などの方が対象となり、国民年金に加入することになります。
第2号被保険者は、会社員や公務員の方が加入する年金で厚生年金に加入することになります。
第3号被保険者は、第2号被保険者の扶養である専業主婦(夫)が対象となり、国民年金に加入することになります。
今回の記事のテータは、国民年金が対象になりますので、第1号被保険者の方が対象となり、「老後に受給できる年金が国民年金のみで老後の生活は可能か?」を記載していきます。
また、国民年金は、20歳~60歳になるまでに加入することが義務付けられており、65歳から老齢基礎年金(未納期間が無い場合)として、
を受給することになります。
国民年金の場合は、65歳から受給できる年金額は、約6.5万円(月額)と心もとない金額で、夫婦で受給しても約13万円(月額)の金額になることになります。
この金額は、20歳~60歳になるまで未納期間が無い方が受給できる金額であり、未納がある場合は、さらに、受給できる金額は少なくなります。
それでは、どうすれば、受給できる年金額を増やすことが出来るのかを以降に記載していきます。
詳細は以下の通りです。
以降は目次です。
目 次
現状の国民年金の受給額
まずは、国民年金のみで老後の生活は可能かについて記載していきます。
国民年金加入者である第1号被保険者は、20歳から60歳になるまで国民年金に加入(強制加入)し、65歳から老齢基礎年金を受給することができます。
それでは、65歳から受給できる老齢基礎年金額ですが、20歳~60歳(40年間)になるまでの間に未納(払い忘れ)が無い場合は、
令和3年4月1日から
■月額:65,075円
■年間:780,900円
を受給することが出来ます。
その為、夫婦の場合(国民年金の未納が無い場合)は、
■月額:130,150円
■年間:1,561,800円
下記の金額を受給することができます。
しかし、上記の金額は、あくまでも税引前の金額※ですので、夫婦で年金を受給する時には、上記の金額から税金(雑所得)を引かれた金額を受給することとなります。
※65歳以降は、110万円以下の場合は、雑所得は引かれません。詳しくは、国税庁「高齢者と税(年金と税)」を参照して下さい。
老齢基礎年金でのみでは、年間:211万円を超えない為、住民税非課税世帯となり住んでいる市町村にもよりますが、国民健康保険などが減額されるメリットがあります。
住民税非課税世帯になったとしても、老後の生活状況を考えると、非常に厳しい老後生活を強いられるかもしれません。
しかし、第1号被保険者は、自営業やフリーランスの方が多く、会社員の方のように定年退職と言う考えが無い為、65歳以降も働くと言う選択もあります。
その為、全ての第1号被保険者の方が老後生活がひっ迫するのかと言うとそうでもないのも事実です。
老後は、いつまでも体が健康と言うこともありませんので、受給できる老齢基礎年金額と向き合ってみる必要があると考えます。
■会社員である旦那さんと専業主婦の奥さん
がモデルとなっています。
その為、国民年金のみ加入の第1号被保険者の方は、2,000万円問題の対象ではなく、不足する金額は、2,000万円どころの話ではないと言うことは理解して下さい。
●2,000万円問題とは
老後の収支の話になりますが、
となり、月額5万円が不足することになり、この生活を30年間続けた場合は、1,800万円が不足することから、2,000間万円問題と言われています。
その為、65歳までに年金以外に貯蓄を2,000万円する必要があると言われ、この2,000万円と言う数字が独り歩きしてしまっています。
しかし、この理論を、第1号被保険者の夫婦で考えると
となる為、不足する金額は、13万円となり、仮に、30年間この生活を行うと、
が不足することが分かります。
その為、第1号被保険者の方を対象にすれば、老後に不足する金額は、2,000万円どころの話ではないことは理解して下さい。
65歳以降も働くと言う考えであればいいですが、不足する金額(13万円)を年金以外で収入を得るか、貯蓄をしておくかを行う必要があります。
何度も言いますが、いつまでも体が自由に動くわけではないので、ある程度は貯蓄などを準備をしておく必要があるのかもしれません。
それにもかかわらず、この2,000万円問題に関して言えば、「だましたな!」「払った金を返せ!」などと言っている方がいます。
受給できる老齢基礎年金の額は、分かりきっているにも関わらず上記の発言は年金の認識が欠如しているものと考えます。
その為、自分の将来には、いくらの資産が必要か改めて考える必要があるのではないでしょうか。
貯蓄もなく老齢基礎年金のみでやっていこうとする考えは、「考えが甘い」と言わざるを得ません。
自分の年金受給額がどうなっているかは、日本年金機構の「ねんきんネット」で確認してみてはどうでしょうか。
しかし、金融庁が2019年に報告した「高齢社会における資産形成・管理」は、老後の生活費が2,000万円が不足すると警告している報告書では決してありません。
あくまでも老後の為に投資を行いましょう(つみたてNISA、iDeCo(イデコ))と言う報告書となっています。
ご存知かどうかはありますが、2020年の家計調査の結果を見ると老後の生活費に2,000万円が不足することはないと言う結果が出ています。
興味がある方は、別記事がありますので確認してみて下さい。
将来の年金をどう増やすか
まず、記載しておきますが、65歳から受給できる老齢基礎年金の受給額が少ないからと言って、貯蓄や投資をあおっているわけではありません。
それでは、国民年金加入者(第1号被保険者)が、65歳から受給できる老齢基礎年金額どのようにすれば増額できるのかを記載していきます。
国民年金を増額させる
■年金の繰下げ支給
■国民年金基金に加入
■付加年金を申請
■iDeCo(イデコ)に加入
■任意加入制度を利用
国民年金の支払額を減らす
■国民年金保険料の前納制度
(1)繰上げ支給、繰下げ支給
第1号被保険者は年金の受給資格※1を満たすと、65歳から老齢基礎年金を受取ることが出来ますが、例外として
を行うことで年金を受給する年齢を60歳~70歳(※2)まで変更することが可能です。
(※2)2022.4以降の年金繰下げ支給は、70歳から75歳に変更することが可能です。
この年金の内容を簡単に記載すると
■繰上げ支給:65歳になる前(60~65歳まで)に年金を受給することが可能
■繰下げ支給:65歳以降(65~70歳※まで)に年金を受給することが可能
※2022.4月からは、75歳まで変更することが可能です
今回のブログのテーマは、年金を増やすと言うことがテーマになりますので、「繰下げ支給」に関して記載を行います。
●繰下げ支給(65歳~75歳まで)
年金の支給開始時期を66歳以降に繰下げて支給することで本来受給できる年金額を増額させることが可能です。
年金を繰下げるメリットになりますが、「繰下げた月数×0.7」分が将来受給できる年金額が増加することになります。
65歳から受給できる年金が6.5万円の場合、年金受け取り年齢を65歳から70歳に変更した場合、「9.23万円」を受給(終身)することが可能
それでは、年金の繰下げ支給の手続きがどのようになっているかと言うと、65歳になる月に日本年金機構から年金請求書が送付されます。
請求された年金請求書にて、老齢基礎年金・老齢厚生年金の繰下げ受給をする欄があるので「〇」を記載し年金請求書を送付すれば、年金を繰下げることが可能になります。
老齢基礎年金、老齢厚生年金の両方を繰下げる場合は、請求書の提示は不要です。
●年金の受給手順
上記までに年金の繰下げ支給に関しての記載をしました。
記載内容を見てみるとわかる通り、年金請求書を送付しないと言うことになるので、年金は支給しなくて良いと言う意思表示をしたことになります。
その為、年金の繰下げ支給をしている場合で、年金を受給したくなった時は、年金を支給して下さいと言う申請(年金請求書)をする必要がありますので注意して下さい。
年齢が70歳になったからと言って年金が勝手に振り込まれると言うことはありませんので注意して下さい。
「70歳になっても年金が受給できないな?」とゆうちょな考えでいると本来受給できるはずの年金が受給できず損をするだけになります。
その為、年金を受給したいのであれば、年金請求書を年金事務所に送付する必要があります。
●受給できる年金額は
それでは、65歳から受給できる年金を繰下げた場合、どれくらいの年金が受給できるのかを以降に記載します。
増額される年金額は、1ヵ月繰下げることで、年金受給額が0.7%増額されることになります。
この増額される年金は、一生増額(終身)されることになる年金です。
また、以降に記載しますが、付加年金に加入していた場合は、付加年金も増額の対象になることになります。
繰下げ支給に関しては、単純に年金が増加されるだけでなく注意事項もあるので、日本年金機構「
老齢厚生年金の繰下げ受給」を参考にしてください。
■年金受給額が6.5万円の場合
66歳 7.05万円
67歳 7.59万円
68歳 8.14万円
69歳 8.68万円
70歳 9.23万円
2022.4年以降は、75歳まで繰下げることが可能となり
■年金受給額が6.5万円の場合
71歳 9.78万円
72歳 10.32万円
73歳 10.87万円
74歳 11.41万円
75歳 11.96万円
を受給することが可能です。
●繰下げ支給を行うにあたり
年金の繰下げ支給に関しては、どこのWebを見てもいい事しか書いていません。
受給できる年金額は、確かに増額されることになりますが、厚生労働省「健康寿命のあり方に関する有識者研究会 報告書(2019年3月)」のデータを見る限り
となっています。
その為、男性で言えば、70歳まで年金を繰下げた場合、健康で入れる年齢があと2.14歳となり、また、女性でも、4.79歳です。
今後は、平均寿命が延びてくると言うデータも出ており、健康寿命も増加するのではないかと考えられます。
その為、安易にお金が増えるからと言って無理な生活を行って、年金の繰下げ支給を行ってもなにもいいことが無いかもしれません。
理由は、お墓にはお金を持っていくことはできませんので、年金の繰下げ支給を行うのであれば、よく考えてから実施するべきと私は考えます。
(2)国民年金基金
まず、国民年金基金に関しての記載になります。
国民年金基金制度とは
国民年金法の規定に基づく公的な年金であり、国民年金(老齢基礎年金)とセットで、自営業者など国民年金の第1号被保険者の老後の所得保障の役割を担うものです
※国民年金基金のHPから引用
要するに、第1号被保険者(自営業やフリーランスの方)にも会社員(第2号被保険者)が加入している厚生年金のような制度を導入した年金制度です。
公的年金の階層構造で言うと、下記の図の赤枠の箇所が該当します。
国民年金基金に関しては、過去の記事があるので参照願います。
(3)付加年金
付加年金を簡単に説明すると、国民年金保険料とは別に「月額:400円」を納めることで老齢基礎年金とは別に付加年金を受給することが出来ます。
付加年金の受給額は、
を受給(年間)できます。
どれくらい受給できるのかと言うと、20年(240ヶ月)付加年金を納めた場合(96,000円)、65歳から受給する老齢基礎年金に
が加算(月額:8,000円)されます。
この付加年金は、月々の掛金が400円と少ない為、受け取れる金額(月額:200円)が少ないと言う難点がありますが、2年間受給することが出来れば元が取れる素晴らしい年金です。
しかし、付加年金は、国民年金基金に加入した場合は、付加年金に加入することはできません。
その為、国民年金基金の掛け金が厳しい場合は、付加年金に加入するなどを検討してはどうでしょうか。
(4)確定拠出年金(個人):iDeCo
確定拠出年金を簡単に記載すると、拠出された掛け金が個人ごとに明確に区分され、加入者個人が自己責任のもと掛け金を運用し、運用成果をもとに年金給付額が決定する年金制度になります。
確定拠出年金は、主に
の2種類に分かれており、今回は、第1号被保険者のテーマに記載しているので「個人型(iDeCo)」に関して記載します。
「個人型(iDeCo)」は、下記の図の赤枠の箇所です。
●加入対象者・掛金
iDeCo(イデコ)の加入対象年齢に関しては、20歳~60歳未満までが加入することが出来ますが、2022.5月からは、65歳未満までが対象に変更されます。
iDeCo(イデコ)の拠出金に関しては、
■加入者個人にて掛け金を拠出
■加入者が拠出した掛金は、全額所得控除
の通りとなり、掛金に関しては、下記の条件により変更されることになります。
第1被保険者
・年額:816,000円
・月額: 68,000円
第2被保険者(会社員)
■企業年金、確定拠出年金(企業型)を実施していない
・年額:276,000円
・月額: 23,000円
■企業年金・または、確定拠出年金(企業型)のみ実施
・年額:144,000円
・月額: 12,000円
第2被保険者(公務員)
・年額:144,000円
・月額: 12,000円
第3被保険者
・年額:276,000円
・月額: 23,000円
●個人型(iDeCo)の運用
「個人型(iDeCo)」は、各証券会社にて実施しており、運用手数料などを確認しながら加入して下さい。
■iDeCoの運用手数料
・加入時(初回):2,829円
・運用期間中
積立てを行う場合:171円
積立てを行なわない場合:66円
・年金受取り時(振り込みの都度):440円
上記はあくまでもiDeCoを運用している国民年金基金連合会の手数料となります。
証券会社によっても手数料が発生する為、加入する証券会社の手数料を確認して下さい。
また、「個人型(iDeCo)」は、投資になりますので運用で発生した損失は、加入者の自己責任になるのでくれぐれも注意をしてください。
銀行の定期預金のように「元本保証はありません」ので注意が必要です。
中には、元本確保商品もありますが、運用利率は非常に低く、上記に記載した国民年金基金連合会の手数料を考えると老後資産には不向きな商品と考えます。
掛金が全額所得控除されることを考えると手数料を引かれても問題ないかもしれませんが、控除される金額が少ない場合は全く意味が無いと言うことは理解して下さい。
(5)任意加入制度
任意加入制度は、20歳~60歳になるまでに国民年金の未納期間がある方が60歳~65歳までに国民年金を納めることが出来る制度になります。
その為、未納期間がある方や学生納付特例制度を利用しその後、国民年金を納めていない方は、任意加入制度を利用し、国民年金を満額受領することを検討して下さい。
国民年金は10年間納めなければ、年金を1円も受給することが出来ませんので期間ギリギリの方は是非とも検討をするべきです。
任意加入制度を使用しても加入期間が10年に満たない方でも65歳以降も任意加入が可能になりますので年金窓口などで是非確認してみて下さい。
未納期間がどれくらいあるかと言うこともありますが、任意加入制度を使用し国民年金を納めるのであれば、付加年金も納めることをを進めします。
少しでも年金を増やしたいと言うのであれば、是非検討して下さい。
(6)国民年金保険料の前納制度
この制度は、年金額を増やすと言うよりも納める年金額を減らすとことになります。
納める金は、「1年、半年、1年、2年」などが前納可能となっています。
2年の前納の場合は、約15,000円が割り引かれるとのことです。
しかし、2年前納は確かに得をしますが、38万円以上の国民年金保険料を納めると考えるとあまり現実的ではないのかもしれません。
最後に:国民年金のみで老後の生活は可能か?
どうでしょうか?
国民年金のみで老後の生活は可能か?どうすれば年金が増やせるのか?
に関して記載しました。
上記までに記載してきましたが、国民年金のみでの老後の生活を行う場合は、非常に厳しい生活を強いられるのではないかと考えられます。
■受給できる老齢基礎年金
月額:約6.5万円
年間:約78万円
その為、老後までの貯蓄、受給できる年金額をどのように増やすことが可能かを記載してきました。
実際に年金を増やすことは可能ですが、ある程度の準備と出費が必要と言うことが分かります。
世界屈指の大富豪であるウォーレン・バフェット氏も貯蓄は重要であり若いうちから習慣づけをする必要があると言う名言を残しています。
■早いうちから貯蓄することを学ばないのは、大きな間違いだ。
なぜなら、貯蓄は習慣だからだ。
ゆっくりお金持ちになるのはたやすいが、手っ取り早くお金持ちになるのは極めて難しい。
その為、若いうちから貯蓄を行うことを習慣づけしていきたいものです。
また、自分が受給できる年金は一体いくらなのか、未納期間が無いかなどは、
■誕生月に送付される年金定期便で確認
■日本年金機構「ねんきんネット」で確認
をしてください。また、
■老後は、どのような生活を行うのか。
■いくら不足するのか
を考え、不足する部分をどのように穴埋めをするかはよく考えておく必要があります。
安易に、お金が無いので多額の掛け金で個人年金に加入し現在の生活が厳しくなるのは考え物です。
個人年金に加入するくらいであれば、「つみたてNISA」や「iDeCo(イデコ)」に加入することで資産運用を行うべきと考えます。
また、将来受給できる年金に関しても雑所得が引かれますので、年金受給額が増えても税金が増えるだけと言うデメリットもありますので安易に増やせばよいと言うわけでがありません。
どのような老後生活を送るかなどは、じっくりと考えて将来受給する年金額はどうなるのかを考えるべきではないでしょうか。
■国民年金のみでは、生活は苦しそう
■国民年金以外の運用が必要か検討
■繰下げを実施する前に
・国民年金基金、iDeCoの加入を検討
・金銭的に厳しい場合は、付加年金を検討
皆さんは、どのように思いましたか?
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本記事は、2021.12.06に全面改訂しています。
2020.10.3
2020.12.4
2021.2.23
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